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新書の穴

昭和の名将と愚将 [著]半藤一利+保阪正康

[掲載]週刊朝日2008年03月28日増大号
[評者]青木るえか

■無責任男、卑怯者、恥知らず…そりゃ戦争負けるわ

 さいきん文春新書からやたら出ているのが「昭和史及び戦争史モノ」。今「前の大戦」を語る機が熟してるのか。

 新書もいろいろな会社から出ていて、出した出版社によってカラーというか思想といいますか、そういうものが分かれる。PHP新書だと「おっさん好みのありがちな人生訓話系」とか角川SSC新書は「団塊の世代向けエンターテイメント系スキマ狙い」とか、朝日新書は「マジメだが……」で平凡社新書は「けっこう硬派」等々。そこへいったら文春新書は「保守!」だろう。

 そこが出す本が語る戦争なんだからとつい身構えて読んじゃうんだが、これがあっけにとられるほど「反戦」。当時を美化するようなこともぜんぜんない。というより、前々から「日本軍(の首脳というか士官学校とか兵学校出たキャリア軍人たち)って無能者集団だったんじゃないのか」とよく知らないのに思っていたんだが、ここ一連の戦争モノの文春新書を読んで、「日本軍首脳は無能者集団だった」と断を下すことができた。

 とにかくバカモノ、無責任男、卑怯者、恥知らず、そんな連中が泉のように湧いて尽きることがない、それが日本軍の上層部。そりゃ戦争負けるわ。『昭和の名将と愚将』というから名将の話も出てるわけなんだけど、その数が少ないし、名将を名将たらしめてるのは絶対評価というよりは周りの愚将の存在による相対評価で、そういうのを読んでると気分は暗くなるし、ズバリ愚将を語った部分なんかは、火曜サスペンスにもこんなわかりやすい悪役なんか出てこねえだろうというぐらいの愚のオンパレード。瀬島龍三なんて、なんで戦後もあんなに威張ってたんだ。というよりなに威張らせてんだ日本は、という戦後日本に対する怒りもむらむらと湧く仕組みになっている。

 戦後日本に対する批判という点では文春らしいのかもしれないが、内容的には朝日ファンが喜びそう。とにかくもう日本は戦争はしてはいかん。

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