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尾崎豊STORY―未成年のまんまで [著]落合昇平

[掲載]週刊朝日2008年5月16日号

  • [評者]青木るえか

■本の中のかっこいい尾崎豊がたまらなく気恥ずかしい

 本屋でこれが並んでいるのを見た時にただちに買った。こういうものが新書で出る。21世紀になったことを実感する。

 新書で小説は出ないのか、ということをちょっと前に問いかけてみたことがあるが(天童荒太の『包帯クラブ』1冊のみでその後は目立つものは出ていない)、これは尾崎豊STORYと銘打った「尾崎豊を萌えネタとして書いた小説」である。そして実に軽い。この手があったか。ケータイ小説の次は新書小説か。

 ……と思いながら読んでいたんですけど、これ20年前ぐらいに出た『未成年のまんまで』の復刊だということを本文が始まる前に書いてあるのを発見した。書き下ろしじゃなかったのか。しかし「ミュージシャン本」を復刻して新書にして出す、というのもまた一つの手かもしれない。そういえば同じソニー・マガジンズ新書から『BOФWY STORY』ってのも出ているので、そういうシリーズかもしれない。

 発刊当時の『未成年のまんまで』は未読であったので、興味深く読んでしまった。何せすぐ読める。するする読める。こういうふうにひっかかりなく読める文章を書きたいものだ。で、読んでみてわかるのは、尾崎豊って人はヤンキーだったんだなあということ。ロックとヤンキーは相容れないものだと信じる私としては、尾崎豊がロッカーだと言われるたびに違和感があり、その違和感は正しかった、と確認できた。

 この、著者が対象ミュージシャンに入り込んで、まるでそのミュージシャンが歌い上げるポエムを代書してるような、かっこわるい話ですら「そんな彼はかっこいい」と信じこんでいるような、こういう筆致のノンフィクション文章。この本あたりが嚆矢だったのかと思った。

 この本の中にいる尾崎豊はとにかくかっこいいことになっている。そのかっこよさが私にはたまらなく気恥ずかしい。それ、尾崎さんの責任というより著者の責任のような気がするが。

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