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都市計画の世界史 [著]日端康雄

[掲載]週刊朝日2008年5月23日号

  • [評者]海野弘

■〈都市〉はなんとすばらしく見えていたことか

 〈都市計画〉について、私たちは今どんな印象を持っているだろうか。残念ながらそのイメージは決してバラ色ではない。どの都市も赤字に悩み、破産したところもある。新しい公共施設や道路どころではない、といった話ばかりだ。

 かつて〈都市計画〉がバラ色であった時代があった。ル・コルビュジエや丹下健三が描いた未来都市像がまぶしいような輝きを放っていた。しかしどうしてその光は失われてしまったのだろう。〈都市〉とはいったいなんだろうか。

 そのように、私たちが〈都市計画〉に夢を失っている時こそ、人類の文化とともにあった〈都市計画〉の歴史をふりかえってみるべきではないかと思う。そんな気持ちでこの本を読んだ。

 このごろの新書では珍しい、硬派で骨太の内容の本で、世界の都市の成り立ちがぎっしりつまっている。その多様な歴史は、6つに区分されている。1.古代文明の都市、2.ギリシア・ローマの都市、3.7世紀から10世紀までの中国、日本、イスラムの都市、4.11世紀から15世紀の中世のヨーロッパ都市と日本の城下町、5.18世紀から20世紀前半のバロック都市、6.19世紀から20世紀の近代都市。

 それぞれの都市がいかに計画されているかが簡明に分析されている。その歴史をたどりながら、都市についていろいろ考えさせられる。建物が集まって増殖していく都市があり、道路が先につくられる都市がある。そして上から計画される都市と、下からコミュニティを核として計画される都市がある。

 私ははじめに、現在、〈都市計画〉はバラ色ではなくなっているといった。この本は実はその前、つまり20世紀半ばごろまでをあつかっている。その後、〈都市計画〉の歴史は終わってしまったのだろうか。ポスト〈都市計画〉の時代にいる私たちにとって、この本でとりあげられている都市はなんとすばらしく見えることか。そして私たちの〈都市〉に未来はあるのだろうか。

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