[掲載]週刊朝日2009年6月5日号
■白洲様のイヤラシサを楽しめなかった
書名を見た瞬間、高鳴る胸の鼓動を抑えられず本屋でひったくるように買った。『白洲家の流儀』。
私は白洲正子を嫌っている。だから白洲関係の書籍はほとんど読むようにしている。嫌いであるからこそ嫌いに磨きをかけたく、嫌うネタを拾うためにも白洲関連猟書は必須。
さて、白洲関連の文章でもっとも私を喜ばせる(=白洲夫婦のヤな感じをじっくり味わえる)書き手は、北康利と白洲信哉で、ことに白洲信哉は白洲夫婦の孫であり、血を引いてるだけにエラそうにいろいろと書いていることが「これは白洲家の血か。このイヤラシサは血統か」などと楽しめる。週刊誌の連載で白洲正子が行ったような場所を回って美麗写真とともに「日本の美とは」みたいなことを語っているやつなど、神社とか山とか私の好きなとこにいっぱい行ってるのに、私の琴線にカケラも触れないことしか書いてないことに感心しながら読んでいた。
その白洲信哉が書いた『白洲家の流儀』ですよ。流儀ときましたよ。
しかし期待が大きすぎたせいか、あまり面白くなかった。というのは「こんなこと書いちゃってるよ。ことごとく合わねーな、白洲様とは、へっへっへっ」と満足できるようなツッコミどころが少なかったということで、ふつうに読めばふつうに白洲家というものがわかる、という本なのだった。紹介がないと泊まれない旅館の話とか、銀座のものすごく高い寿司屋(田中康夫が酷評していた寿司屋)に子供用のウニの離乳食作ってもらったとか、白洲夫婦は鶴川の武相荘以外に赤坂にビル持ってたとか(それも「小さなビル」だって。赤坂の6階建てで。よく言うよ)大ネタは満載であるが、思ったほどいやらしくない。カッコもつけているが、けっこう率直に自分が勉強できなかったこととか書いてるからか。
まあ、とにかく、白洲家みたいなところの流儀を紹介されても、ふつうの家の人間にはマネも出来ない。でも白洲家をのぞきたいという人には役立つ本だ。
著者:白洲 信哉
出版社:小学館 価格:¥ 735
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