[掲載]週刊朝日2009年11月20日号
■明治前半の最大実力者は500円札のあの人
10代のころは歴史小説にハマっていた。『竜馬がゆく』とか『国盗り物語』とか、ま、定番ですな。「歴女」なんて言葉もない時代、クラス男子の「シバリョーなんかサラリーマンのおっさんが読むもんだろ」という嘲笑に悔し泣きしつつ、歴史ロマンに「うおおお」と大興奮だったのでありました。
しかし、小説は小説。ほんとのところ、歴史の英雄たちはどれほどの人物だったのか。古代から現代まで、日本の“偉人”70人の偉人度をガチンコ採点、史実が語る彼らの実像を明らかにしている。
評価は10点満点。あんなにカッコよかった人たちがもう、こてんこてん。卑弥呼は北九州あたりでちょっとブイブイいわしていた女酋長にすぎず3点、徳川家康はひたすらケチな臆病者、5点。篤姫は別に天下に興味はなく、和宮をいびったりする気の強いおばはんで、4点。歴史ロマン、台無し。
逆に天皇や皇族、公家、こういう高貴の人々は実務能力に欠けると思われがちだが、いや驚いたね。明治前半の最大の実力者は西郷でも大久保でもなく、500円札の肖像しか記憶にない公家政治家・岩倉具視なのだ。堂々の10点。神武天皇、崇神天皇など古代の天皇は初めて日本という国を作り上げ、明治天皇と昭和天皇も新時代構築に腐心したことで軒並み評価が高い。
要するに、大方の人の頭の中の日本史ってのは、大河ドラマと歴史小説でできてるのがよくわかる。明らかに史実とちがうことを小説に書くな、と著者はカンカン、特に司馬遼太郎にはおかんむりだ。それも無理ないか。日本中、こう刷り込まれちゃね。ファンとしてはちょっと複雑なのだが。
ちなみに現首相の祖父、鳩山一郎も載っている。曰く、「腐敗政治家」。鳩山家は貧乏武士の家で、明治以降、政治家か官僚しかしてないのに大富豪になったのは不思議、と嫌味も強烈。「何が大事かを真面目に考えない」小泉純一郎と並んで3点。情けないのう。
せめて、孫の由紀夫クンには頑張ってもらいたいものだが。
著者:八幡 和郎
出版社:ソフトバンククリエイティブ 価格:¥ 798
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