話題作でたどる60年 夏の読書特集2005
読んでいなくても知っている。そんな、時代の刻印といえるベストセラーを足がかりに、戦後60年をたどります。まず、暑さでゆるんだ頭をちょっぴり引き締める、お楽しみクイズをどうぞ。
後半は、読書家の皆さんに、思い出深い戦後の5冊をジャンル別で挙げてもらいました。
■話題作でたどる60年
■戦後60年・おすすめの本
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クイズ戦後のベストセラー〈45〜74年〉
(ベストセラーのランキングは「2004 出版指標 年報」(出版科学研究所)などを参照しました。クイズ作成と解説:瀧井朝世)
45年 空前のベストセラー『日米会話手帳』の最初のフレーズは?
A=How do you do? B=Thank you! C=Good day! »答え
46年 『嘔吐』(5位)で知られる実存主義者サルトルの実生活でパートナーは誰?
A=シモーヌ・ド・ボーボワール B=シモーヌ・ベイユ C=スーザン・ソンタグ »答え
47年 妻子にあてた書簡を収録した『愛情はふる星のごとく』(2位)で知られる尾崎秀実は、何の事件で刑死した?
A=血盟団事件 B=帝銀事件 C=ゾルゲ事件 »答え
48年 太宰治『斜陽』(1位)で冒頭、お母さまが庭でしていたことは?
A=草むしり B=おしっこ C=かくれんぼ »答え
49年 谷崎潤一郎『細雪』(4位)の三女の名前は?
A=幸子 B=雪子 C=妙子 »答え
50年 ミッチェル『風と共に去りぬ』(3位)の映画化作品で主人公スカーレット・オハラを演じたのは?
A=リリアン・ギッシュ B=ビビアン・リー C=イングリッド・バーグマン »答え
51年 大岡昇平の『〜夫人』(4位)。さて、何夫人?
A=真珠夫人 B=武蔵野夫人 C=エマニュエル夫人 »答え
52年 サラリーマン社会を描いた源氏鶏太の小説は?(2位)
A=三等重役 B=サラリーマン社長 C=即席重役 »答え
53年 菊田一夫『君の名は』(3位)で真知子と春樹が出会うのは?
A=面影橋 B=数寄屋橋 C=思案橋 »答え
54年 前年に引き続き全集ブーム。中でも売れたのは?(2位)
A=角川書店『昭和文学全集』 B=創元社『マルクス・エンゲルス全集』 C=河出書房『世界文学全集』 »答え
55年 国語辞書が大売れ。一番人気は?(7位)
A=明解国語辞典 B=広辞林 C=広辞苑 »答え
56年 石原慎太郎『太陽の季節』(1位)の舞台は?
A=神奈川県 B=和歌山県 C=宮崎県 »答え
57年 深沢七郎『楢山(ならやま)節考』(2位)映画化作品でカンヌ映画祭グランプリを受賞した監督は?
A=木下恵介 B=今村昌平 C=市川崑 »答え
58年 五味川純平『〜の条件』(1位)。さて、何の条件?
A=美人 B=人間 C=就職 »答え
59年 安本末子『にあんちゃん』(1位)。“にあんちゃん”は何を指す?
A=ニャンコちゃん(猫) B=二番目の兄 C=ナンちゃん(友達の名) »答え
60年 謝国権『〜生活の知恵』(1位)。何の知恵?
A=借金 B=性 C=家族 »答え
61年 松本清張『砂の器』(5位)で犯人を追う手がかりになった言葉は?
A=カメダ B=ツルダ C=ネコダ »答え
62年 話題となった山岡荘八の歴史小説は?(4位)
A=『豊臣秀吉』 B=『伊達政宗』 C=『徳川家康』 »答え
63年 経済人による大ヒット。『物の見方考え方』(5位)の著者は?
A=松下幸之助 B=井深大 C=本田宗一郎 »答え
64年 河野実(まこと)・大島みち子の書簡集『愛と死をみつめて』(1位)で、みち子は実を何と呼んでいた?
A=マーくん B=マコ C=マー坊 »答え
65年 『なせば成る』(2位)の著者、大松博文は東京オリンピックの何の監督?
A=女子水泳チーム B=女子バレーボールチーム C=女子マラソンチーム »答え
66年 三浦綾子の『氷点』(3位)で、病院長がひきとったのは誰の子?
A=自分が死なせてしまった患者の子 B=自分の子を殺した犯人の子 C=自分の妻を死なせてしまった医師の子 »答え
67年 人気シリーズ『頭の体操』(1位)の著者は誰?
A=鈴木健二 B=多湖輝 C=斎藤茂太 »答え
68年 司馬遼太郎『竜馬がゆく』(4位)で、幼い竜馬に剣を教えたのは?
A=父の八平 B=兄の権平 C=姉の乙女 »答え
69年 庄司薫『赤頭巾(ずきん)ちゃん気をつけて』(7位)で主人公の薫君が通う高校は?
A=日比谷高校 B=開成高校 C=灘高校 »答え
70年 塩月弥栄子のヒット作は『〜入門』?(3位)
A=茶道 B=テーブルマナー C=冠婚葬祭 »答え
71年 イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』(3位)で「日本教の生んだ偉大な宗教人」と位置付けられているのは?
A=西郷隆盛 B=坂本竜馬 C=勝海舟 »答え
72年 有吉佐和子『恍惚(こうこつ)の人』(1位)で痴呆(ちほう)症になってしまうのは?
A=夫 B=舅(しゅうと) C=姑(しゅうとめ) »答え
73年 小松左京『日本沈没』(1位)。沈没の要因は?
A=地球温暖化 B=彗星(すいせい)直撃 C=地殻変動 »答え
74年 リチャード・バック『〜のジョナサン』。何のジョナサン?(1位)
A=かもめ B=ひらめ C=つばめ »答え
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戦後復興 旧「敵性」文学も次々
敗戦直後、45年9月に出た『日米会話手帳』は、刊行後わずか2カ月半で360万部の大ヒットとなった。
治安維持法違反容疑で獄死した三木清『哲学ノート』、尾崎秀実『愛情はふる星のごとく』がベストセラーに。『西田幾多郎全集』には、購買希望者が徹夜で並んだ。
戦争中は手に入らなかった「敵性」文学も次々と刊行。サルトル『嘔吐(おうと)』、ドストエフスキー『罪と罰』、ミッチェル『風と共に去りぬ』などが上位に顔を出した。
一方で日本文化への愛着も強く、『夏目漱石全集』、谷崎潤一郎『細雪』に人気が集まる。
また、『君の名は』はラジオドラマにもなり、大人気を博した。
50年ごろから全集ブームが起こった。55年の1位には辞典が入った。
56年には、衝撃的な若者の姿を描いた『太陽の季節』が売れ、新時代の到来を感じさせる一方、深沢七郎『楢山節考』、五味川純平、在日韓国人の炭鉱生活をつづった安本末子『にあんちゃん』など、人間の生を真正面から描いた作品も読まれた。
高度成長 経営関連本に注目
60年ごろから『砂の器』など松本清張作品がブームに。高度成長期とあって、人気絶頂の山岡荘八の時代小説も、経営術の参考本という見方から読んだ人が多かった模様だ。64年は現代に先駆けて純愛ブーム。『愛と死をみつめて』が爆発的に売れた。
64年の東京オリンピック。人気日本女子チームを率いた監督、大松博文の著者『なせば成る』『おれについてこい』がヒット。ドラマ化された三浦綾子『氷点』もベストセラー。
司馬遼太郎『竜馬がゆく』といった歴史もの、東大紛争などの世相を背景にした庄司薫『赤頭巾(ずきん)ちゃん気をつけて』が読まれる一方、70年に入ると日本人論が注目をあびる。
イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』や土居健郎『甘えの構造』、田中角栄『日本列島改造論』が読まれた。迫り来る高齢化社会を予感させる有吉佐和子『恍惚(こうこつ)の人』も話題に。
73年、第1次オイルショックに呼応するかのように小松左京『日本沈没』が売れ、日本人の心の揺れが浮き彫りに。
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