ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>特集> 記事

特集

〈戦争を伝える私の一作〉4 本「雨にも負けて風にも負けて」 [著]西村滋

[掲載]2007年08月15日

■息子に読み聞かせた

 空襲で親を失い窃盗で生活していた13歳少年、売春で生計をたてていた16歳少女。戦災孤児の施設に入った子どもたちが演劇を始める。練習を重ね、他の施設に慰問に出かけ、公開で上演するほどになる。

 山口県周南市の小野尚子さん(55)は21年前、長男出産の直前に古本屋でこの本に出あった。戦災孤児の悲惨な暮らしぶりに「強く心を揺さぶられた」という。

 長男と、一つ年下の次男が小学校高学年のころ、寝る前に読み聞かせた。かつて同年代の子どもたちが、大人が勝手に起こした戦争でつらい日々を送り、心の傷を生涯にわたり残したことを知ってほしかった。

 目の前で米兵に犯された姉が、川に身を投げるのを目撃した15歳の少女の話なども、書いてあるままに読んだ。同じ子どもの話として心に迫るものがあったようで、2人は言葉もなく聞いていた。次男はその後、高校生の時に自分で再び読んでいた。

 過ちを繰り返せば、再び多くの人にはかりしれない影響を与える。2人の子どもには伝わったと思っている。何人もの知人に貸し、何度も買い直した。小野さんは「多くの大人と子どもに読んでほしい」と話す。

    ◇

こんな作品を推す声も

 ▽「東京の戦争」吉村昭(ちくま文庫)戦争をした立場ではなく、「された人々」の視点で、体験者の目と耳を通して生々しく語り実感を持って読める=札幌市、自営業山口博さん(53)

 ▽「七人の遺髪 ソ満国境の開拓団より逃れて」近藤かつみ(揺籃社)目を覆わんばかりの悲惨な逃避行でありながら、著者のまなざしはとても優しく、読みやすい=長野市、大学名誉教授筒井健雄さん(71)

 ▽「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」辺見じゅん(文春文庫)子どもを失った母の悲しみ、戦争そのものの残虐さ。子や孫とともに読みたい=東京都調布市、主婦銅谷孝子さん(74)▽美空ひばりの「一本の鉛筆」(松山善三作詞、佐藤勝作曲)パネルシアターで披露。「一本の鉛筆があれば 戦争はいやだと私は書く」などの歌詞と歌唱力に感動した=宮城県柴田町、図書館ボランティア尾形和子さん(56)

 ▽「あの日夕焼け 母さんの太平洋戦争」鈴木政子(立風書房)10歳の著者が旧満州から引き揚げた体験記。「茅ケ崎朗読の会」で朗読。今年も15日に平和の集いで語る=神奈川県茅ケ崎市、主婦福田通子さん(56)

〈戦争を伝える私の一作〉火垂るの墓ひめゆりちいちゃんのかげおくり雨にも負けて風にも負けて

〈戦争を読む、見る、伝える〉ガラスのうさぎかわいそうなぞうはだしのゲンビルマの竪琴

ここから広告です

広告終わり

この記事の関連情報

このページのトップに戻る