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ここから本文エリア 特集 kokoroの健康講座2:大野裕「こころの伴走者」(2)2007年10月29日 ■心にも免疫的な働きがある ――うつ病の治療は、損なわれた精神機能に働きかけて元の状態にする、普通に戻すということですか。 大野 基本的にはそうです。医者の側としては、患者さんが持っておられるいろいろな力――論理的な能力だとか、人間的な魅力とか、前向きな姿勢といったものを総合して、問題の解決に結びつけていく。それがうまくできるように手助けをするということだと思います。 患者さんにすれば、それが元に戻ることになるのですが、うつ病というのは本当に辛い体験ですから、そこをかいくぐることによって、その方がひと回り大きくなる、成長されるということがあるんですね。 それは例えば、何かの感染症にかかった時に発熱しますが、その熱で病原菌を排除して体が元に戻る。その時に免疫機構が働いて抗体ができると、次に同じ細菌が入ってきてもうまく排除できる力が備わるわけです。抽象的な比喩(ひゆ)ですけれど、うつとか不安にもそういうことがあります。 言い換えるなら、うつや不安にも適応的な側面があって、話がやや飛躍しますが、仕事や人間関係がうまくいかない時に落ち込んで、反省したり、何か手立てを考えるのは大事なことですね。その意味において「軽うつ」というのは必要なものですし、初めて何かをしようとするときに不安になるのも、ちょっと緊張して集中力が高まる良さもある。そうした落ち込みや不安が行き過ぎたときが問題なのですから、われわれ治療者は行き過ぎを元に戻す手助けをする。それがうまくいくと、ひとつの辛い経験が次からの対応を違ったものにし、視野を広げてステップアップすることがあり得るわけです。 ただ、気をつけないといけないのは、そういう辛い状態に耐えかねて、自分は弱い人間だみたいな思い込みがトラウマになる可能性もあります。プラスとマイナスの両面がありますので、なるべくプラスのほうを育てることが治療に際してはとても重要です。
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