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ここから本文エリア 特集 kokoroの健康講座2:大野裕「こころの伴走者」(3)2007年10月29日 ■伴走者とマラソンを走る ――いち早く変調に気づくこと、そして頑張りすぎないことが、「うつ」に対処する基本の構えであると。 大野 そうですね。まだ頑張れると思って、ひとりで頑張りすぎているうちに動けなくなってしまった、辛くなってしまったとおっしゃる患者さんは多いです。早い段階で気づいてうまく逃げていれば大事に至らずに済んだのに、「逃げ損ねてしまった」という状況なのかもしれません。であればこそ、早めの手当てが意味を持つわけです。 ただし、最初に申し上げたように現状の精神科の医療態勢では、患者さんの話にじっくり耳を傾けるのが難しいですから、診療を補完する意味で、何か患者さんの気持ちを整理する機会なり、話し相手が身近にいると大分違ってくると思います。ご家族や職場の同僚の方などがよき相談者になってくれる、あるいは精神医学の本やインターネットなどで正しい知識を得られれば、短時間でもかなり有効性の高い診療ができるはずです。 その際に周囲の方にお願いしたいのは、自然に接してほしいということなのです。精神科を受診される方は、腫れ物に触るように接されると、自分がのけ者にされているように感じてますます辛くなります。ごく自然に接しながら、安易に励ましたり、大きな決断を迫ったりはしない。マラソンの伴走者のようにペースを合わせて過ごしていただくうちに、だんだんご本人も走れるようになってくるところがあります。 それに、短距離走ではなくマラソンですから、道程は長いということを理解していただきたい。早く解決しようとして焦ると、無理に励ましたり性急な結論に流されて、ゴールをより遠ざけてしまいかねません。もうひとつ、伴走者も同じ人間ですから、「自分が助けなければ」とあまり頑張りすぎると、介護と同じでご自身までひどく辛くなってしまいます。ご本人やご家族、お友だち、また医療関係者とよく相談しながら適切な手助けをする、みんなで支えるという発想が大事だろうと思います。
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