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ここから本文エリア 特集 kokoroの健康講座2:大野裕「こころの伴走者」(4)2007年10月29日 ■本は自分の体験に沿って選ぶ ――専門家や体験者などが著した「うつ」に関する書籍がたくさんあります。そうした本との接し方や選ぶコツは? 大野 一言でいえば、ご自分で読んですっきりする、すっと入ってくる本を選ばれるといいと思います。読んでみて「なるほど」とひざを打つとか、気持ちが楽になるような本ならもっといい。 精神科医療のなかでも「読書療法」というもののエビデンスは認められていて、ご自分の症状に気づくきっかけを本が与えてくれますし、自覚を持ってからは気持ちを整理するためのよきツールになります。また、同じ方でも症状が推移すると読みたくなる本も変わる傾向があり、いろいろな本を読み継いでみるのも、ご自分の状態を知る手がかりになるかもしれません。 ただ、これも注意を要するのは、本に書かれた症例や対処法などはすぐれて一般化されていますから、必ずしもご自分のケースにあてはまるわけではないし、アドバイスとして適切でないものも含まれていることを念頭に置いてほしい。診療者が患者さんと一対一で相対する場合には、その方だけに合わせた話ができますが、何千何万という読者に向けた本では、類似した症例とか、治療や対処法の傾向を参照するぐらいにとどめて読んでいただく必要があります。 私自身にしても、例えば『うつ病は励まさない』と著作のなかで申し上げていますが、診療の場では、少しできるようになったら小さい成功体験ができるように励ますケースもあるわけです。しかし、本に「励ましてもいい」と書いてしまうと、それが極端にとられかねませんから、そうは書けない。つまり、本を中心に考えるのではなくて、ご自分の体験を中心に、どうすれば気持ちが楽になるか、問題解決の方向に結びつくかという視点を持ちながら本を利用することが大切だろうと思います。 そして、診療者と患者さんの一対一の関係をとり結ぶという目的において、精神医学の書籍やインターネットの活用が昨今、熱心に検討されつつあります。十人十色、百人百様の精神疾患に対処するのにそれらが有効な手立てとなるなら、大いに歓迎したいと考えています。
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