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ここから本文エリア 特集 ここ10年、新訳次々 海外研究が進展、村上春樹でブーム本格化[掲載]2007年10月26日朝刊 この10年、文学史上に名を残す古典の新訳が続いている。海外文化研究の進展とともに、戦後に相次いで刊行された翻訳が古びてきたことも背景にある。 さきがけの一つは、鈴木道彦訳のプルースト『失われた時を求めて』(集英社、96年)だった。井上究一郎訳などが普及しているなか、個人で全訳を試みた。 また同年には丸谷才一・永川玲二・高松雄一訳のジョイス『ユリシーズ』(集英社)も刊行。ほぼ同時に柳瀬尚紀訳も河出書房新社から出されるなど話題となった。 ゲーテ生誕250年となった99年には『ファウスト』が池内紀訳(集英社)と柴田翔訳(講談社)で出され、競訳と注目を集めた。 こうした新訳ブームを決定づけたのは、村上春樹訳によるサリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社、03年)の刊行だった。人気作家による新翻訳は新たな読者層をひらき、新訳の商業的な成功の可能性を示した。村上訳では、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(中央公論新社、06年)、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』(早川書房、07年)と話題作が続いた。 ほかにオースティンの『高慢と偏見』(中野康司訳、ちくま文庫、03年)、モーム『月と六ペンス』(行方昭夫訳、岩波文庫、05年)、トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(大久保博訳、角川文庫)などがある。 新訳ブームの背景には、日本での著作権が切れる作品が増えていることもある。サンテグジュペリの『星の王子さま』のように、日本での著作権が切れ、岩波書店の持つ独占的な翻訳出版権がなくなることによって、池澤夏樹訳(集英社)、倉橋由美子訳(宝島社)など新訳が相次ぐケースもあった。 こうした古典新訳ブームを受け、06年には「いま、息をしている言葉で」をキャッチフレーズに光文社の古典新訳文庫も創刊。ベストセラーとなったドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の新訳以外にも、ヘミングウェイの『武器よさらば』(金原瑞人訳)やトーマス・マンの『ヴェネツィアに死す』(岸美光訳)などの作品が収録されている。(加藤修)
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