奥田英朗さんの初めての新聞連載小説「沈黙の町で」が2011年5月7日から、朝日新聞の朝刊で連載されている。小さな町で起きた1人の中学生の死をめぐり、町にひろがる波紋を描く。被害者や加害者とされた子の家族、学校、警察などさまざまな視点から描き出される群像小説で、地方都市の精神風土に迫る。
奥田さんの群像小説の代表作には、長編サスペンス『オリンピックの身代金』(吉川英治文学賞)がある。一方、破天荒な精神科医・伊良部が活躍する『空中ブランコ』(直木賞)などのユーモア小説も得意とする。「真面目なことにはうそが多いと思います。群像劇という形式であれば、建前の真実ではなく、表も裏も見せて、全体を提示できる。そうでなければ、ぷっと笑ってしまうようなことに託して、人間の真実を見せようと思っています」
「沈黙の町で」は、いじめや少年犯罪などの社会問題と向き合う。「被害者にも加害者にも、傍観者にも言い分がある。それぞれをフェアに描きながら、対立を嫌がる小さな町で事件をもみ消していくような力がどうかかっていくか、それがどのような意識に支えられているのかを考えたい」




