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「うつ」を克服する最善の方法 [著]生田哲

[掲載]週刊朝日2006年7月7日号
[評者]永江朗

 3月に川崎市のマンションで起きた男児投げ落とし事件について、抗うつ薬が原因ではないかという説がささやかれている。今井被告にはうつ病の治療歴があり、広く用いられている抗うつ薬「SSRI」には服用者を暴力にかりたてる副作用があるから、というのだ。もっとも、今井被告がその種の薬を飲んでいたかどうかは不明であるけれども。

 生田哲『「うつ」を克服する最善の方法』は、多くのページをSSRIの危険性告発に費やしている。論旨は明快。SSRIは脳を興奮させて躁状態にする薬であり、覚醒剤やコカインと似ている。人は躁状態になると、自分が何でもできるという全能感と他人より優れているという優越感に支配され、まともな判断ができなくなる。浪費や暴力行為にも走る。逆にうつを引き起こすこともあり、自殺願望が強くなる。米・コロンバイン高校で起きた銃乱射事件や、九九年の全日空ハイジャック事件は、このSSRIの副作用によるものだったという。

 長期不況やリストラ不安のせいなのか、うつ病が増えているといわれる。そのうつ病患者に医者がどんどんSSRIを投与しているとしたら、これはかなりマズイのではないだろうか。もしかしたら、川崎市の事件に限らず、これまで起きた動機が不可解な凶悪事件の何割かはSSRIのせいじゃないか? という気がしてくる。

 しかもこのSSRI、生田によると、うつ病を治す力はないらしい。躁状態になるから治ったように見えるだけ。百害あって一利なしである。ではなんでそんな薬を医者は投与するのかというと、医者は薬のことなんか何も知らないのだとか。医者は病気の専門家であっても、薬の専門家ではない。ちなみに生田は日米で研究生活を送った薬学博士である。

 じゃあ、うつ病になったらどうすればいいか。規則正しい生活と、充分な睡眠、バランスのとれた栄養でちゃんと治ると生田は言う。たしかにそれでは製薬メーカーも商売あがったりだ。


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    書籍詳細

    表紙画像

    「うつ」を克服する最善の方法—抗うつ薬SSRIに頼らず生きる

    • 著者: 生田 哲
    • 出版社: 講談社
    • ISBN: 4062723425
    • 価格: ¥ 880

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