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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ニュースな本> 記事 ニュースな本 牡蠣礼讃 [著]畠山重篤[掲載]週刊朝日2007年01月26日号 ■ウイルス風評 牡蠣(かき)の養殖漁民が困っている。ノロウイルス流行による風評被害で価格が暴落しているのだ。食中毒の原因は生牡蠣など二枚貝、というイメージがあるが、実際には人から人への感染がほとんど。昨年12月23日の朝日新聞には「今年の流行の原因はカキではあり得ない」という、国立感染症研究所研究官のコメントが載っている。厚生労働省もホームページの「ノロウイルスQ&A」から、生牡蠣の写真を外した。 牡蠣は安全だし、心配なら加熱すればいい。そこまでして牡蠣を食べたくない、という向きもあるかもしれないが、いやいや、牡蠣にはそれだけの価値が充分ある。 畠山重篤『牡蠣礼讃』を読むと牡蠣をたくさん食べたくなる。この小さな本は牡蠣に関する蘊蓄本、というよりも、人間と牡蠣をめぐる壮大な文化史である。著者は三陸で牡蠣や帆立の養殖をしている。いわば牡蠣のプロ。しかも『日本〈汽水〉紀行』(文藝春秋)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した文章家でもある。 牡蠣が栄養たっぷりですぐれた健康食品であることはよく知られている。なにしろ牡蠣エキスのサプリメントもあるほどだから。しかし、あんな旨いものを錠剤にして飲むなんてもったいない。 現在のように牡蠣を安く安全に食べられるようになったのは、養殖技術が発達したからだ。牡蠣養殖の父と呼ばれるのは宮城新昌(しんしょう)。畠山は牡蠣養殖の歴史をたどって、宮城の故郷である沖縄や、彼が研究した米国シアトルなどを尋ね歩く。そして日本の牡蠣が危機を救ったフランス、干し牡蠣文化の中国、さらにはオーストラリアにまで足を延ばす。牡蠣といってもいろんな種類があり、世界中でその土地ならではの牡蠣の食文化が栄えている。 畠山が繰り返し述べるのは、牡蠣が海だけの恵みではないということ。海に注ぐ河川と、河川の源である山や森の恵みでもある。旨い牡蠣を食べ続けるためには、森を大切にし、河川を汚さないようにしなければならない。 ここから広告です 広告終わり ニュースな本 バックナンバー
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