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日雇い派遣―グッドウィル、フルキャストで働く [著]派遣ユニオン・斎藤貴男

[掲載]週刊朝日2007年09月21日号
[評者]永江朗

■日雇い派遣の現実

 厚生労働省が「ネットカフェ難民」に関する調査を行った。その数は全国で約5400人。ネットカフェに寝泊まりする利用者の7.8%だという。「ネットカフェ難民」とは、住居を失ってインターネットカフェやマンガ喫茶などで寝泊まりする人。なお、ネットカフェ業界の団体は、「ネットカフェ難民」という呼称は差別語だ、と抗議声明を発表している。

 厚労省の調査では5400人のうち約600人が日雇い派遣だという。日雇い派遣とは、派遣会社に登録し、仕事があるたびに日雇いで働く形態。携帯電話ひとつが命の綱だ。

 5400人とか600人という数字が多いのか少ないのか。話題になったわりには少ないと感じた人もいるかもしれない。しかし派遣ユニオン著『日雇い派遣』を読むと、とんでもなく苛酷で悲惨なその実態が見えてくる。著者の派遣ユニオンとは、グッドウィルやフルキャストで働く人たちがつくった労働組合だ。

 業界最大手のグッドウィルの一日の稼働人数は1万〜3万人。そこから、日雇い派遣のみで生計を維持している労働者は数万人、と同書は推測している。ネットカフェにも泊まれずハンバーガーショップの硬い椅子で眠ったり、それさえできずに野宿する人もいる。

 仕事の内容もきつくて危険なものが少なくない。粉塵の舞う中、マスクひとつで作業したり、鉄骨やブロックをエレベーターなしで運んだり。しかも怪我をしても補償はほとんどない。むかし言った三キ(きつい・汚い・危険)がいま日雇い派遣に集まる。明日はどんな仕事なのかわからない。そもそも仕事が来るのかどうかもわからない。どんなにか心細く、つらいことだろう。これでは技能を身につけることもできない。若いうちに技能を身につけないと、安定した人生は送れない。

 派遣会社のやり方が悪いのはもちろんだが、日雇い派遣をモノのように使う企業にも責任がある。新卒初任給が1000円伸びた、なんて日経連発のニュースが空々しい。

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