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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ニュースな本> 記事 ニュースな本 外注される戦争―民間軍事会社の正体 [著]菅原出[掲載]週刊朝日2007年11月02日号 ■民間軍事会社は国家公認のヤクザ? イラクでは民間軍事会社(PMC)があちこちで問題を起こしている。9月16日には銃を乱射して多数の市民が死亡。イラク政府はPMCに対し死者一人あたり九億円あまりの賠償金を請求した。10月9日にも、別のPMC社員がイラク人女性2人を射殺した。ついに米国議会でも、PMCが問題にされはじめた。 「民間」と「軍事」という2つの言葉がうまく結びつかない。軍事は国家の独占物ではなかったのか? いくら「官から民へ」といっても、これはやりすぎ。でも、一般の警備会社と警察の境目なんて曖昧に見えるし……などと考えているとわからなくなってきた。 菅原出『外注される戦争』は副題にあるとおり、民間軍事会社の実態に迫った本である。 軍事においても、アウトソーシング化がどんどん進んでいる。それも、兵器や装備の開発・生産というレベルではない。施設の警備に始まり、補給・兵站から、さらには捕虜の尋問まで。もっと驚くのは、軍隊の訓練を請け負うPMCもあることだ。紛争国が民主化される過程で、PMCが警察や軍隊の教育を行う。 流れができたのはベトナム戦争から。泥沼化するなかで兵士が不足し、後方支援業務を民間委託した。そこからずるずると業務を拡大していった。本書の帯に「もはや米軍でさえ、自力では戦えない!」とあるが、これは誇張ではない。また、ほとんどのPMCは軍の特殊部隊OBなどで作られている。給料は軍隊よりPMCのほうがはるかに高い。このため、優秀な兵士がPMCに流出している。 PMCは鵺(ぬえ)的な存在だ。社員は軍人のようで軍人でなく、そのくせ武器の携行や使用、さらには捕虜の尋問や虐待まで行っている。PMCは国家公認のヤクザのようなものかもしれない。ヤクザはみかじめ料を取るかわりに、酒場などでのトラブルを収める。ときには警察よりも機動力にすぐれ、柔軟な対応をする。だけど、ヤクザの手を借りなきゃ遂行できない戦争って、何なんだろう?
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