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道路の経済学 [著]松下文洋

[掲載]週刊朝日2007年12月07日
[評者]永江朗

■国交省よ、責任なしの計画ならサルでも作れるぞ

 国土交通省は道路特定財源を使い切るつもりらしい。しかも、揮発油税(ガソリン税)など道路特定財源の税率は本来の二倍に上乗せされているが、この暫定税率を延長するよう求めているとか。

 道路特定財源については、「あまった分を一般財源にしろ」と政府は言い、「いや、あまる分の税金はやめろ」と自動車業界やユーザー団体は言っている。ところが国交省は「あまらないよ。全部使い切っちゃうから。上乗せ分も続けろよ」と言うわけだ。

 一般財源化については、地方自治体からの反発もある。「まだまだ道路整備は必要」というのが理由だ。国交省の「使い切り」宣言はその線に則ったものだ。だが彼らが要求しているのは、本当に必要な道路だけなのだろうか。土建屋にカネを落とすためのムダな道路も含まれていないだろうか。

 松下文洋『道路の経済学』は、必要な道路とムダな道路を見分けるための公共投資分析について書かれた本である。道路公団民営化直前に書かれた少し古い本だが、根本のところは変わっていない。

 びっくりするのは日本の道路建設費の高さだ。ロンドンのM25環状高速道路と日本の圏央道を比べるとキロ一車線あたりの単純比較で日本はイギリスの二十倍、これが首都高中央環状だと百十九倍!用地買収費がほとんどかからない海峡横断橋を比べても、日本の道路はばか高い。

 道路を造るのにいくらかかるか、どれだけの経済効果があるか、なんて単純な話ではない。環境への影響も考えなければならない。渋滞は環境に悪いが、道路を造ることだけが渋滞の解消策ではない。パーク&ライドや路面電車、ロードプライシング(都心への自動車乗り入れに対する課金)など、総合的に考えていくべきだ。

 気になるのは、需要予測を間違った場合、誰がどう責任を取るのかである。アクアラインも本四連絡橋も大失敗だった。それによって国交省の役人は何人クビになったのだろう。責任を問われない計画なら、サルにだって作れる。

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