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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ニュースな本> 記事 ニュースな本 H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ [著]岡田晴恵[掲載]週刊朝日2008年01月04・11日号 ■流行したら死者210万人以上の恐怖 この冬はインフルエンザの流行が例年より早いそうだ。マスクをした人をよく見かける。もっとも、「風邪ですか」と聞くと、「いいえ、予防のために」と言う人もいる。まずは自衛を、という意識が広がっている。 数年前から専門家が警告しているのは新型インフルエンザの流行である。鳥インフルエンザウイルスが変異して人間にもうつるようになるもの。「たかが風邪」などとあなどってはいけない。強毒性で感染力も強く、致死率は6割とも言われる。 岡田晴恵『H5N1』はこの新型インフルエンザが日本で流行した場合をシミュレーションした小説である。タイトルはインフルエンザウイルスの型の名前(わかりやすいタイトルにすれば、もっと売れただろうに……)。著者は国立感染症研究所の研究員で、これまで新型インフルエンザに関する一般向け解説書を何冊も書いている。行政や世間の反応の鈍さに業を煮やし、小説にしたててみました、ということなのか。 南の島で新型インフルエンザが発生する。その島へ行っていたビジネスマンが、ウイルスを日本に運び込んでしまう。家族に感染し、会社の同僚に感染し、商談をした取引先にも感染する。通勤するバスや電車に乗り合わせた人にも。 行政の対応は鈍い。一般の人も事態の深刻さがよくわかっていない。「たかが風邪で会社を休めるか」とか、「たるんでいるから風邪にかかる」なんて精神主義がいまだにはびこっている。不要不急の外出はやめるようにと呼びかけても、誰もが自分の用事は急を要する重大事だと信じているから効果がない。 いちど感染が広まり始めると、もう手がつけられない。ワクチンは間に合わないし、症状を緩和するタミフルも足りない。医師すらバタバタと死んでいく……。 もし実際に新型インフルエンザが日本で流行したら、死者は二百十万人以上になるとも予想されている。しかも、いつ流行してもおかしくはないのだ。
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