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マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝 [著]バラク・オバマ

[掲載]週刊朝日2008年02月01日号
[評者]永江朗

■オバマの人生に比べて日本の指導者たちは…

 ヒラリー・クリントンで決まりかと思われた米大統領予備選挙、オバマの健闘で思わぬ混戦である。しかし、そもそもオバマとはどんな人物なのか。バラク・オバマ『マイ・ドリーム』を読んでみた。

 本書の副題は「バラク・オバマ自伝」。そもそも、原書の初版は1995年である。オバマが(自分の心中ではともかく)大統領候補になるとは考えもしないときに書かれたものである。だからマリファナなど軽いドラッグ体験にも言及されている。

 しかし、それはともかく、非常に率直な半生記である。ケニア人(つまり黒人)を父に、白人を母に生まれた幼少期、ルーツを求めて彷徨する青年期などが、きわめてあけすけに語られる。たとえば父親は複数の妻を持つのだが、それは必ずしも現代の西洋の価値観で切り捨てられるものではない。また、それはそれとして、アメリカ社会でオバマが肌の色ゆえに受けた差別は、否定しようもない。

 オバマは地域のオーガナイザー(社会運動家とでもいえばいいのだろうか)として活動する。しかし、組織化はうまくいかない。理想が必ずしも人びとに受け入れられるわけではないのだ。オバマは挫折と再起を繰り返す。大統領候補の自伝ということを抜きにしても、一人の人間の物語として、本書はとても面白い。

 オバマ再起の原動力となる経験のひとつは、父の故郷であるケニア訪問だ。かの地の人びとに接して、オバマの知識と見識はさらに広がる。苦労した人なんだね、と素直に思う。おじいさんが首相だったとかなんだとか、日本のニューリーダーたちが言っているのは糞みたいなことだ、オバマの人生に比べれば。ヒラリー・クリントンにせよ、バラク・オバマにせよ、あるいはマケインにせよ、彼らの資質は日本の指導者たちとは段違いだと思う。

 日本の選挙権はいらないから、アメリカの選挙権がほしい。そんなことをマジに考える。だって、首相が誰かよりも、アメリカ大統領が誰かのほうが切実でしょう?

    ◇

 白倉三紀子、木内裕也訳

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