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ニュースな本

脱・道路の時代 [著]上岡直見

[掲載]週刊朝日2008年03月28日増大号
[評者]永江朗

■笑ってしまう道路特定財源の支出分析

 道路特定財源をめぐる与野党の攻防が泥沼化してきた。当初は道路族議員+全国の知事の特定財源維持派が優勢かと見えたが、各種世論調査では反対派が多数。さらに役人たちのむだづかいや道路事業の不明朗な発注実態などが次々と明るみに出て、維持派の旗色は日増しに悪くなっている。

 そもそも道路とは何なのか。何のために造るのか。行政がすべきことの中で、どのくらいの優先順位なのか。上岡直見『脱・道路の時代』は、道路行政のありかたを根本的に問う本である。

 常識のウソが次々に暴かれる。たとえば、道路を造ったからといって渋滞が緩和されるとは限らないということ。新しい道路ができれば、流入するクルマの量も増える。便利であればあるほど増えるだろう。また、ユーザーが新しい道路を選ぶとは限らない。

 ムダな道路を造らないという点に関しては、道路特定財源維持派も反対派も一致している。問題はどんな道路をムダとするかだ。本書では国交省の費用・便益分析がいかにいいかげんなものか指摘されている。費用・便益分析は道路を造ることによるプラスとマイナスを比べる。しかし、プラス・マイナスはその人の立場で変わる。

 笑ったのは道路特定財源の支出に関する分析だ。どの地域にどの程度支出されるか、地理的要因との相関関係は希薄だ。だが、自民党得票率とは相関関係が認められるという。民主党の菅直人氏が道路族議員を利権顔呼ばわりしたのも、そう外れてはいない。

 もっとも民主党は本書を自分たちへの応援本だと勘違いしてはならない。たとえば著者は、日本のガソリン税はじめクルマにかかる諸税は外国と比べても高くないと指摘する。税金を下げればクルマが増えて道路予算を増やさなければならなくなるだろう、とも。

 重要なのは移動の自由であって道路ありきではない、と著者は言う。いくら道路ができても、運転できない老人や子供や病人は移動できない。高速道路より、まずは近所に病院を、である。

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