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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ニュースな本> 記事 ニュースな本 未来派左翼 [著]アントニオ・ネグリ[掲載]週刊朝日2008年05月02日号 ■キーワードは〈共〉、ネグリが考える左翼思想 イタリア人哲学者、アントニオ・ネグリの来日が中止された。東大や京大、東京芸大では、ネグリ不在のネグリ講演会が行われ、のべ千七百人が参加した。 来日中止の経緯にはよく分からないことがある。ネグリは70年代イタリアで、反体制運動の理論的支柱だった。そこで元首相暗殺事件など政治テロに思想的影響を与えたとして有罪になった。フランスに亡命したが、のちに帰国して服役した。この犯罪歴が入国の障壁になった。 ネグリの経歴は周知の事実だから、招聘元の国際文化会館はそれでも入国は問題ないと思っていたのだろう。外務省は直前(2日前!)になってビザ取得を促し、時間切れで中止に。サミット前だからなのか、外務省や法務省入国管理局の意地悪か、はたまた国際文化会館のドジなのか。もっとも、中止によってネグリへの関心が高まったのは皮肉だ。 アントニオ・ネグリ著、ラフ・バルボラ・シェルジ編『未来派左翼』(廣瀬純訳)は、編者によるネグリへのロングインタビュー。来日に間に合わせるためか、とりあえず上巻だけが出た。 原題は「GOODBYE Mr SOCIALISM」、社会主義さんサヨウナラ。90年代以降、ヨーロッパでは(日本と違って)社会主義や社会民主主義が大きな勢力となっていたが、ぜんぜん現状に対応できてないぞ、とネグリは言う。だからといって反共・右翼などと誤解してはいけない。社民を超えた左翼思想とその実践の可能性を探る。 キーワードは〈共〉だ。ネグリは、パリのストライキ、シアトルのデモ、中米サパティスタの闘争などから、「みんなでひとつになろう」という柔軟なスタイルを見いだそうとしている。一方、既存の左翼政党には手厳しい。 日本と共通する問題も多い。産業別の既成労組が既得権にしがみつき、短期不安定労働者や移民労働者を排除しているというのだ。左翼政党はこの既成労組と結びつきが強い。うーん、やっぱり来日して討議してほしかった。
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