[掲載]週刊朝日2008年5月16日号
■ストリップ激減に昭和の男のウブさとオカミの下劣を思う
ストリップ劇場が激減している。警察庁が四月に発表した「平成19年中における風俗関係事犯等について」によると、ストリップ劇場(「店舗型性風俗特殊営業3号」というのですね)の数は180店。平成15年(2003年)は509店あったのに。
激減した理由は06年に届け出条件が厳格化したことが大きいようだが、やはりインターネットの普及も影響しているだろう。なにしろそのまんまの画像や動画が無料で見られるのだから。
足繁く通うというほどではないが、私はストリッパーの皆さんの芸、そして劇場内のあの雰囲気が大好きなので、激減は残念だ。
『小沢昭一座談』の第3巻は『本邦ストリップ考──まじめに』。小沢昭一が大衆芸能について語るシリーズである。
戦後ストリップ史について深井俊彦・中谷陽と語る「ヴィーナスたちの誕生」という章が楽しい。いつ・どこで・だれが・どのようにして脱いだのかを真剣に語っているのである。見たい男たちの熱気が伝わってくるし、チラッと見えただけで大興奮してしまう昭和の男たちのウブさに笑う。
だが、本書の大半が費やされているのは「一条さゆり」裁判についてである。一条さゆりは伝説のストリッパー。駒田信二が小説『一条さゆりの性』で半生を描き、映画にもなった。たび重なる公然わいせつ罪検挙(生涯に10回!)により、反権力のマドンナ、ジャンヌ・ダルク的存在でもあったのだ。
72年の引退興行でも検挙され、最高裁で懲役1カ月が確定するのだが、本書に収められた起訴状や公判調書が抱腹絶倒である。オカミの手にかかると、呑気なストリップ興行もたちまち下劣でいやらしいものに変わってしまう。いわゆる「オープン」は、一連の踊りの流れのなかで表現される。ところが警察=検察は文脈を無視してそこだけ拡大するから異様な感じとなる。
風前の灯のストリップ劇場。亡くなって11年になる一条さゆりは、草葉の陰でなんと言う?
著者:小沢 昭一
出版社:晶文社 価格:¥ 2,520
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