[掲載]週刊朝日2008年05月30日号
■形も音も感触も楽しめて…やっぱり、銀塩カメラがいちばん!
銀塩カメラ(フィルム式カメラ)が、とうとう統計から姿を消した。カメラメーカーなどがつくる業界団体、カメラ映像機器工業会は「銀塩カメラ/カメラ用交換レンズ生産出荷実績表」というのを毎月発表している。ところが2月、3月分は「集計上の規定を満たさなかったため、表示が出来ません」。1月の生産台数は1580台だった。もう銀塩カメラはほとんど生産されなくなったのだ。
デジタルカメラの登場は1980年代末。一般に普及しはじめたのは95年発売のカシオ「QV−10」からだった。当時、メーカーに取材したのを覚えている。デモ機をいじくり回して、「おもしろいけど、銀塩カメラには到底およばない」と思った。それからわずか十年あまりでデジタルが銀塩を駆逐してしまうとは。
でも、銀塩カメラにもいいところはたくさんある。赤城耕一『銀塩カメラ至上主義!』は、カメラ評論家でもある写真家による銀塩カメラレビュー集だ。ニコンFに始まり、キヤノンやミノルタ、オリンパス、ライカ、ローライなどが次々出てくる。ただし、骨董品的クラシックカメラ評ではない。少し前には現役だった、もちろん今でもじゅうぶん現役で使えるカメラのレビュー&エッセイ集である。プロカメラマンとしての冷静な分析と、カメオタ(=カメラオタク)の熱い思いとが同居していて、いい味を出している。
赤城が語るのはカメラの性能だけでない。形の美しさ、持ったときの感触、シャッター音など、まさに五感を駆使してカメラの魅力を語る。そうさせるものが、銀塩カメラにはあるのだ。デジカメとの違いは、蒸気機関車と新幹線、ゼンマイ式時計と電池式時計みたいなものだろうか。ああ、やっぱり銀塩カメラがいちばん!
もっとも、私とて最近はデジカメばかりだ。防湿箱のF3、G2、T2、XAらが泣いている(カメラファン以外には意味不明でしょうが、ご勘弁ください)。こんどの休みには、銀塩カメラを持って散歩に行こう。
著者:赤城 耕一
出版社:平凡社 価格:¥ 2,100
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