[掲載]週刊朝日2008年6月27日号
■10年以内に石油生産は減少…世界はどうなる!?
ガソリンスタンドの前を通ると値段が気になる。どこまで上がるのだろう。ガソリン税復活と原油価格高騰のダブルパンチだ。
原油価格が高騰するのは投機のためだといわれる。上がると思うから上がる。原油はこれからも上がると投機筋が考えるのは、中国やインドなどの消費拡大と原産国の生産力不足が確実だからだ。ということは、今後ガソリンが安くなることはもうないのか。
デイヴィッド・ストローン『地球最後のオイルショック』にはもっと悪いことが書いてある。あと十年内で石油の採掘と生産はピークを迎え、それからは細る一方だというのだ。石油生産の限界を従来は「ピーク・オイル」と呼んできた。だが著者は「ラスト・オイルショック」と呼ぶ。事態の深刻さを強調するためだ。
石油がいつ枯渇するかについては、たくさんの論争が繰り返されてきた。誤解しやすいのは、石油が地下に一滴もなくなることとピーク・オイルとの混同だ。石油の量が限界を超えて減ると、それを汲み出すのに莫大なエネルギーとコストがかかる。石油を一滴残らず使うことはできない。
石油がなくなれば温暖化が止まっていいだろう、という人もいる。だがことはそう単純ではない。石油の代わりに石炭や天然ガスの使用が増え、温暖化は加速するだろう。やがて石炭や天然ガスも枯渇するのであるが。バイオエタノールや水素などの代替エネルギーも根本的解決にはならない。
石油がどんどん高騰していけば、経済への影響ははかりしれない。不況なのに物価が上がり続けるスタグフレーションが起きるかもしれない。たんにガソリンが高くなるだけではないのだ。
われわれにできることは限られている。まず、石油の使用量を減らして、ピークを少しでも先延ばしすること。その間に、代替エネルギーの開発も含めて、打てる手を考えるしかない。いずれにしても、500メートル先のスーパーまでクルマで、なんていう生活はもう終わりにするしかない。
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高遠裕子訳
著者:デイヴィッド・ストローン
出版社:新潮社 価格:¥ 1,575
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