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災害救援ガイドブック トイレって大事! [著]山下亨

[掲載]週刊朝日2008年11月21日号

  • [評者]永江朗

■空腹は我慢できてもトイレは…

 首都直下地震が起きたらトイレが大混乱する。場所によっては十七時間もトイレ不足が続く……。こんな試算を中央防災会議・首都直下地震避難対策等専門調査会が発表した。しょっちゅうお腹を下し、最近は小のほうも近くなった私にとって、なんとも気になるニュースである。

 地震が起きると、都心で働いている人は歩いて帰宅しようとするだろう。道はどこも大混雑。歩くうちトイレに行きたくもなる。ところが避難所となる学校や公共機関、コンビニのトイレが足りない。地震で壊れたり断水したらたちまちアウトだ。トイレはあってもトイレットペーパーが足りないかもしれない。水洗化率の高さがこういうときにアダとなる。

 山下亨『災害救援ガイドブックトイレって大事!』は、災害時のトイレ問題についての本。阪神・淡路大震災や新潟県中越大震災の経験をもとに書かれている。

 「非常用食料・飲料水の備蓄など考えるな」という言葉が出てくる。中越大震災などを体験した医師の持論だそうだ。常識とは正反対の主張である。暴論にも聞こえる。だが本書を読むと納得できる。

 空腹は我慢できても、排泄を我慢することはできない。健康な人は二日ぐらい食べなくてもどうってことない。ところが食べてしまうと、とたんにトイレ問題が発生する。どこでするか、何で拭くか、どこに捨てるか。対策がある程度整うまでは、食べないのがいちばん。ただし、トイレ問題が生命に直結する人もいる。病人や老人、子どもなど、災害弱者へのケアは最優先しなければならない。

 過去の大地震では、避難所になった学校のトイレが圧倒的に足りなかったそうだ。今のうちに全国の学校のトイレをうんと増やしてはどうだろう。駅のトイレも今の三倍ぐらいほしい(どうして緊急時に限って満室なのか?)。

 非常食を備蓄するなら、家庭用簡易トイレも忘れずに。明日から、外出するときはティッシュを多めに、そしてドライブ用携帯トイレも持って行こう。

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