人気青年コミック誌「モーニング」(講談社)が25周年を迎え、本誌やポータルサイト最大手のYahoo!をはじめ、講談社のデジタルコミックを扱う電子書店でも記念企画が行われている。この機会に絶版になった過去の作品を電子コミック化されるものも多く、年末にかけて続々とデジタル読書のラインナップが増える予定である。
さて、「モーニング」で最も長い期間連載されているのが、ご存じ『島耕作』シリーズ(弘兼憲史著)だ。シリーズ第1弾となった『課長島耕作』はデジタル読書の世界でも早い段階から投入された作品で、PC版は2004年11月、ケータイ版は同年12月に配信が開始された。
本誌では専務に就任した島耕作も、連載開始時の1983年はまだ34歳の係長。出世を気にかける小心者ぶりを見せる描写もある。派閥に属さず、しかし実力派の上役からはかわいがられ、待遇にも恵まれたといえるだろう。現実的にはなかなかないシチュエーションである。ほかにも仕事のシーンや多数の女性との関係などディテールを見る限りつっこみどころは満載なのだが、職場や家庭の人間関係に疲弊することの多いサラリーマンにとって、一種のおとぎ話として機能するストーリーに仕上がっている。
連載作品の場合、主人公や登場人物たちの基本設定が変わらないものと、リアルタイム感覚で年齢、経験を重ねていくものとがある。本シリーズは後者で、シリーズ第2弾の『部長島耕作』では成長した娘が島のビジネス上のパートナーとして登場する場面もある。そこで私たち読者は、まるで知り合いの子どもに偶然再会したような感覚に陥るのだ。
新卒者が中間管理職を任され、子どもが成人するにじゅうぶんな期間、このシリーズは連載されてきた。今はスーパーサラリーマンといわれる彼も課長時代は若かった。もちろん、私たち読者も若かった。気がつけばずっと側にいた、そんな地位を築いた作品だ。
つかず離れず、ほどほどの距離。息長い人気の秘訣かもしれない。作品そのものが島耕作のキャラクターとダブる。このまま社長を経て退任を迎えるまでがんばってほしいものだ。