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文・落合早苗

あのドラマは「新潮ケータイ文庫」から 『エラいところに嫁いでしまった』

2007年01月15日
[評者]落合早苗

 新番組スタートの時期で、各局のドラマの番組宣伝、芸能ニュースなどが華やかだ。小説を原作とするものも変わらず多い。デジタル読書の世界でも、これに合わせてPCやケータイ向けに配信をはじめるものも増えてきている。第3回本屋大賞を受賞し200万部を売り上げた『東京タワー』は、残念ながらまだ電子書籍化されていないが、『風林火山』(井上靖著/新潮社)、『華麗なる一族』(山崎豊子著/新潮社)、『今週、妻が浮気します』(GoAhead&Co./中央公論新社)、『エラいところに嫁いでしまった』(槇村君子著/新潮社)などがPCやケータイで読めるようになっている。

 うち『エラいところに嫁いでしまった』は、文芸大手の新潮社が運営する「新潮ケータイ文庫」で、2005年4月より約半年にわたって書き下ろし連載されたエッセイ。 一見サエない同級生の恋人は、実は医者一族のお坊っちゃま。主人公は玉の輿を狙ったわけでもない、合理的なイマドキのオンナ。伝統的な姑やはっきりしない夫とのバトルを、軽妙な文体でつづったものだ。結婚というのが個と個の結びつきではなく、家と家の結びつきであり、「嫁」という文字通り女性にとっては家に入るということが、日々の些細でコミカルな衝突を通して伝わってくる作品である。やや偽悪的で毒を吐くようなひとり語りが、ケータイというデバイスと連載というライブ感にハマって、連載中サイト内アクセスで首位をキープした。

 ドラマはこれを原案とするもので、主人公の悪態ぶりは原作の方が遥かに上。ほかにも設定などにアレンジが加えられてはいるが、ドタバタぶりやテイストは変わらない。どちらも結婚がカルチャーギャップとの闘いであることを改めて考える、いい機会になるだろう。閲覧型の「新潮ケータイ文庫」でも、ドラマ化記念企画として、有料会員向けには過去に配信されたこの作品を全編公開中。非会員向けにも第1章を無料公開している。

 なお続編の『エラいところに嫁いでしまった(2)〜夫婦激闘編』も、ドラマの第1回放映日と同時に配信が開始された。

hon.jp

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プロフィール

落合早苗(おちあい・さなえ)
 株式会社hon.jp代表取締役社長
 学習院大学文学部卒。出版社・IT関連サービス会社等を経て2004年3月インプレス(現・インプレスホールディングス)入社。同月設立の100%子会社リーディングスタイル(現・hon.jp)に出向。丸善丸の内本店の電子書籍体験コーナーの運営や表参道のカフェを使ったケータイ読書プロモーションを企画実施。2006年10月より現職。日本ペンクラブ会員。日本出版学会会員。

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