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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>デジタル読書トレンドWatch!> 記事 文・落合早苗 事件か事故か… 法医学のロングセラー 『死体は語る』2007年01月22日 まだ年明け間もないというのに、陰惨な事件や悲壮な事故が目立つ。衝撃的なニュースを目にするたびに暗澹(あんたん)たる気分に陥る。全容が明らかにされる前に飛び交う憶測にぐったりする人も多いだろう。そのような中にあっても、地道に真相究明のために日々活動している人たちがいる。 「死人に口なし」とはよくいわれるが、必ずしもそうともいえないらしいのだ。 『死体は語る』(上野正彦著/文藝春秋)は、法医学のロングセラー。著者は元監察医で、現役時代は2万体もの変死体を扱ってきた。あまたの著作物を持ち、講演会などでも精力的に活動する著者の初めての単行本でもある。1985年から連載された時事通信社発行の情報誌「厚生福祉」でのコラムをもとに、1989年に同社より書籍化され65万部のベストセラーになった。その後2001年に文藝春秋にて文庫化、2003年には文庫版を底本にデジタル読書向けに電子書籍化されて、現在はPC・ケータイでも読めるようになっている。 検死や解剖などにより、偽装殺人が露呈されることもあれば、自殺と思われる事件が事故だったことが明るみに出ることもある。本書では死後現象や遺体の損傷から丹念に死因を特定する監察医の仕事が、多くの事例とともにストイックに綴られている。タイトルのインパクトに対してむしろ静謐な筆致で、事件の是非についてはおよそ語られていない。しかし医療の職業倫理や検死制度には一家言を持つ。そしてそれは「死者の権利を守る」ことでもあると繰り返し説く。 本書を読めば、死とはまぎれもく「現象」である側面も見せつけられることになるだろう。しかしもの言わぬ死者の静かな告発やそれを汲み取ってきた各種専門家たちの倫理観が、社会秩序を維持する最後の砦なのかもしれないとも考えさせられる。 ここから広告です 広告終わり 電子書籍を探すならhon.jp
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