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文・落合早苗

ケータイコミックが牽引、電子書籍の市場規模は182億円へ 『電子書籍ビジネス調査報告書2007』

2007年11月20日
[評者]落合早苗

 今年も『電子書籍ビジネス調査報告書2007』(インプレスR&D)が発行された。

グラフ電子書籍の市場規模の推移(2002年度〜2006年度)
(C)インプレスR&D『電子書籍ビジネス調査報告書2007』

 2006年度の電子書籍市場は182億円。対前年度比194%、およそ2倍の規模に成長。牽引するのはケータイ向け電子書籍で112億円。対前年度が243%の勢いだ。同時刊行された『電子コミックビジネス調査報告書2007』(インプレスR&D)と合わせてみると、さらにその73%に当たる82億円がケータイコミックで占められている。

 2006年9月末時点でのキャリア公式の電子書籍配信サイトは193。それが今年の同時期には448サイトにまで膨らんだ。ちょうど紙の書籍と同じように「取次会社」が誕生してコンテンツ流通の仕組みが整備され、配信サイトが飛躍的に増えたことが、市場拡大のもっとも大きな要因であると思われる。敬意をこめてその役割を果たした取次会社を挙げるなら、モバイルブックジェーピー、ビットウェイ、パピレス、デジブックジャパンの4社である。参入を考えている企業担当者は、この4社に問い合わせるとよい。まだまだ規模は小さいとはいえ、1996年の2兆6564億円をピークにほぼ下がりつづけ、2006年には2兆1535億円まで落ち込んだ出版業界にあって(出版科学研究所調べ)、右肩上がりの、今後も期待されている市場である。

 先日、リーク情報から1年かかったが、米Amazonが電子書籍端末を近く発売する見通しである旨が発表された。先行のSony Readerの売れ行きは順調だったと聞く。Googleブックサーチも未知数とはいえ、世界規模で展開を広げてきている。国内ではケータイ小説が脚光を浴び、ニンテンドーDS向けにパッケージ型の文学全集/選集がリリースされ、パソコン向けには無料/有料を問わず閲覧型の電子雑誌も続々と創刊されるなど、電子出版は多様化している。電子書籍はそのひとつの形態にすぎないが、電子辞書に次いで「市場」を形成したといえるジャンルでもある。電子書籍貸し出しといった千代田区図書館の取り組みも、トピックスとしては大いに注目したい。

 デジタルコンテンツは書籍や雑誌などの一覧性にはかなわない。電子書籍でも売れ筋はほぼ固定化され、紙の書籍と同様、良書はなかなか売れないという悩みも抱えている。メディア接触時間の構成比が劇的に変わりつつある中で、「本」の良さをどう伝えていくのか。市場が拡大するにしたがって、シビアにビジネスと見る向きもあるものの、各現場が試行錯誤したひとつの結果が、この数値に集約されている。

 ※本書(オンデマンド版)は一般書店でのお取り扱いはございません。インプレスR&Dのサイトにてお求め下さい。

『電子書籍ビジネス調査報告書2007』(インプレスR&D)
『電子コミックビジネス調査報告書2007』(インプレスR&D)

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    プロフィール

    落合早苗(おちあい・さなえ)
     株式会社hon.jp代表取締役社長
     学習院大学文学部卒。出版社・IT関連サービス会社等を経て2004年3月インプレス(現・インプレスホールディングス)入社。同月設立の100%子会社リーディングスタイル(現・hon.jp)に出向。丸善丸の内本店の電子書籍体験コーナーの運営や表参道のカフェを使ったケータイ読書プロモーションを企画実施。2006年10月より現職。日本ペンクラブ会員。日本出版学会会員。

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