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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>デジタル読書トレンドWatch!> 記事 文・落合早苗 市川崑監督逝去で再読する 『犬神家の一族』2008年02月19日 2月13日、映画監督の市川崑氏が亡くなった。
映画作品だけで76本。文芸作品が多いが、『東京オリンピック』などのドキュメンタリー映画、テレビドラマ『木枯らし紋次郎』なども手がけた巨匠である。 代表作のひとつでもあり、最後の作品にもなったのが横溝正史原作の『犬神家の一族』(角川書店)。1976年公開。2006年には同じ監督・同じ主演でリメイクされて話題になった。 1976年の『犬神家の一族』は角川映画の第1弾となった作品。メディアミックス展開自体は当時もそれほど珍しいものではなかったものの、出版社主導で映画と書籍(主には文庫)を同時にTVで宣伝する手法がとても斬新だった。この戦略にすっかりハメられてしまった同世代の人たちは多いだろう。私自身もそのひとりである。 子どもが読む本というのは、多くの場合、親や学校が選んだ範疇に限定される。主体的に読みたいものはというと、マンガかあるいは今ならゲーム攻略本などが一般的だろう。そういう中で映像とリンクする文芸作品は、読書への動機づけになりやすい。個人的な話で恐縮だが、推理ものというとホームズかルパンくらいしか知らなかった私が、金田一耕助という人間臭い、魅力的な人物に出会うことができたのは、まちがいなく、この映画に導かれてのことだった。 暗い湖に突き出た二本の足、バックに流れるダルシマの美しい旋律(大野雄二作曲「愛のバラード」)とのコントラストが印象的な予告は、ただ空恐ろしいというのではなく、子ども心に奥深いものを感じたものである。映画には著者の横溝正史も脇役で出演していて、原作をより身近に思えたことも、読書への足がかりとなった。 『犬神家の一族』に限らず横溝正史の金田一耕助シリーズはデジタル化され、PC・ケータイだけでなく、読書端末・Words GearやLIBRIeにも対応している。久しぶりに読み返してみると、当時のストーリー全体から感じていたおどろおどろしい空気というのが、映画の影響を強く受けていたのだと気づく。そもそもストーリーをうろ覚えだったことに愕然。端的な文体でテンポよく展開され、ラストには一抹の救いもある。ロングセラーには、やはりいいものが多い。
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