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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>デジタル読書トレンドWatch!> 記事 文・落合早苗 文学賞とはなにか 『アシタ』2008年03月18日 先日Yahoo!JAPAN文学賞受賞作の発表があった。ヤフー・小学館・タイムブックタウンの3社が共同で設立して話題になったこの賞も、今年で3回めを迎える。1675の応募作品のうち、ユーザー投票により決まるYahoo!JAPAN賞には、秋吉理香子氏の「雪の花」が、選考委員特別賞(今回の選考委員はあさのあつこ氏)には、おおはしひろこ氏の「街角に思い出のたたずむ」が、それぞれ選ばれた。あさの氏の言によれば、最終選考に残った5編は総じて質が高く、味わい深い作品群だったようだ。 特設サイトでは、今回の受賞とともに第1回Yahoo!JAPAN賞受賞作の書籍化の告知が掲載されている。藤堂絆氏の『アシタ』が2008年3月10日、ジャイブのピュアフル文庫にて発売されることになった。本書には受賞作の「アシタ」ほか5編が収録されている。 ユーザー投稿による選考という、当時としては新しい試みに興味をひかれ(ほかに角川書店・フジテレビ共催の野性時代青春文学大賞、メディアファクトリー主催のダ・ヴィンチ文学賞など、同種の応募方法・選考方法の賞が同時期に設立されている)、第1回の最終選考5編は私自身も読み比べてみた。賞というのは相対的な側面を持っており、受賞作についての当時の率直な感想としては、あくまでも「5編の中では」という条件付きのもので、若く瑞々しい感性が光る作品ではあったものの、やや凡庸という印象は否めなかった。 その後2006年6月、本賞主催の1社・パブリッシングリンク(現タイムブックタウン)が運営するサイト・タイムブックタウンで、藤堂氏の受賞後はじめての作品「聡史がいない日」という中編が発表された。受賞からわずか3か月。「アシタ」の瑞々しいテイストを残しながら、格段に表現力がついていた。募集要項ではテーマも文字数も限定されていたが、その制限が外れたのが良い方向に作用したのであろう。著者の資質とそれを最大限に引き出した編集担当者の足跡が見て取れる作品に仕上がっている。その軌跡はその後の作品にも継承され、2007年3月発表のアンソロジー収録作品「君と手をつなぐ」は、すっかりプロの作品になっていた。 現在、文学賞・新人賞は乱立ぎみである。その設立趣旨により一概にはいえないが、本来新人発掘/新人育成の場であったはずが、昨今は販売促進や広告宣伝としての色合いが強くなってきている。雑誌の売上が落ちつづけ、書籍の発行点数も年間8万点を超え、新人に限らず作家が生き残っていくのは難しい状況だ。そういう中で、近年設立されたネット系文学賞が、ネットメディアも活用しながら新人を育てていこうとしている。今後も大いに期待したい。 ここから広告です 広告終わり この記事の関連情報電子書籍を探すならhon.jp
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