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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>デジタル読書トレンドWatch!> 記事 文・落合早苗 ノベライズで楽しむ向田邦子賞受賞作 『わたしたちの教科書』2008年04月15日 先日発表された第26回向田邦子賞を受賞作『わたしたちの教科書』(フジテレビ系/坂元裕二脚本)は、扶桑社からノベライズが発行されている。上下巻からなる本書は、上巻はドラマ放映中の5月末に、下巻はドラマ完結後の6月末にそれぞれ発行されている。そして時期をほぼ同じくして、電子書籍では1話ずつドラマの進行に沿った形で配信された。放映時にリアルタイムで読めば連載としてのおもしろさを実感したろうし、ドラマが終了した今なら、好きな回だけ読めるというのが魅力だ。 百瀬しのぶ氏によるノベライズ『わたしたちの教科書』は、この機会に文字としてあらためてドラマをなぞりたいファンには、期待を裏切ることのない作り。台詞がほぼ忠実に再現されており、ドラマでは役者の演技力やカメラワークに頼らざるをえなかった登場人物たちの心情が「ことば」として落とし込まれている。独立した別作品というよりは、ドラマを補完するものとなっており、特筆すべきは、最終回でもっとも気になっていた雨木音也が先生たちに取り押さえられたあとの行動について数行とはいえ触れられていた点で、音也がその後どうなるのかに含みを持たせている(DVDのディレクターズカットにそのシーンが含まれているかどうかは未確認)。 扶桑社のこうした取り組みは以前、『ヒミツの花園』のコミカライズ(関西テレビ/永田優子/めぐみ京香)の際に紹介したが、まだ実験的な配信だった「ヒミツの花園」に対し、本作品からは、メディアミックスのひとつの手法として本格的に電子書籍化するようになった。扶桑社では、つづいて『母親失格』(東海テレビ/いとう斗士八)や『ファースト・キス』(フジテレビ/井上由美子/吉田美文)、映画化もされた『象の背中』(秋元康/扶桑社:初出は産経新聞)なども提供している。Cazネット上で集まった女性ユーザーの本音を集めた「Cazリアル・レポート」シリーズ(Cazは現在休刊、Cazネットも終了している)や、人気週刊誌「SPA!」の記事単位での配信など、デジタルのメリットを生かしたコンテンツも多い。4月28日に創刊される月刊女性コミック誌「マリカ」との連携も予定されているそうだ。 グループシナジーを最大限に活用し、まだヒットの方程式を持たない電子書籍の世界での意欲的な取り組みには、今後も大いに注目したい。
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