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たとえば『聖☆おにいさん』を読んで『ブッダ』が読みたくなった時

2008年9月2日

  • [評者]落合早苗

 2006年5月以来約2年半にわたってつづけてきたこのコーナーも、今月(9月)いっぱいで終了する。当初「ケータイ読書トレンドWatch!」としてスタートしたこのコラムは電子書籍の認知度向上を目的に、書評というよりは業界秘話なども交えて売れ筋のコンテンツを紹介してきたが、今回を含め残り3回は、電子書籍の世界に携わる私自身が、1ユーザーとしてどのような場合に電子書籍を選択するのか、紙とデジタルとをどう読み分け/買い分けているのか、といった話をしたい。

 電子書籍市場はコミックコンテンツに支えられている。私自身も電子コミックの購入は多い。電子書籍のメリットのひとつにスペースをとらないということが挙げられるが、巻物の多いコミックは、その最たるジャンル。本の読み方や買い方は人それぞれで、図書館やマンガ喫茶を利用する/読み終わったものは新古書店に、というのが消費者としては賢いのかもしれない。だが、読む場所を固定されたり、返却までの読書時間を固定されたりというのが私は苦手だし、ましてや手間をかけてどこかに売りに出すマメさもない。基本的にコミックは紙の雑誌を買って、リアルタイムで連載を読んでしまうことにしている。

 雑誌を買うといってもすべての雑誌に目を通しているわけではないので、個人的な守備範囲外の話題作で電子化されているものはデジタルで読む。少し前だと何かとネットで話題の『らき☆すた』(美水かがみ/角川書店)や、アニメ化で一部地区で放映が見合わされた『こどものじかん』(私屋カヲル/双葉社)などはケータイで読んだ。今さらだが、『ひぐらしのなく頃に』(竜騎士07・07th Expansion/DFCほか)も読みはじめている。自分にとってケータイコミックを買うということは、コンビニエンスストア向けに発行されている廉価版を買う行為に近い気がする。読んでよかったもの、「もの」として手元に残しておきたいものなどは、あらためて紙の本として購入しなおすこともある。

、映画化・DVD化、各賞受賞などの話題、あるいは現在進行中で読んでいる作品の関連書なども、可能な限りデジタルコンテンツを優先する。直近では、書店員が選ぶ「NEXTブレイク漫画」でランキング1位に輝いた『聖☆おにいさん』(中村光/講談社)で時々出てくる手塚治虫の『ブッダ』。『聖☆おにいさん』は、掲載誌の「モーニングツー」が隔月化したころからのファンで、電子化の話も聞かず、発売日にはすでに紙で入手している。すぐに元ネタ(聖書も含め)がわからないため、何度も読み返すうちに、やはり手塚版『ブッダ』も読まずにはいられなくなった。普段電子書籍はケータイで読むことが多いが、これは腰を据え、見開きでじっくり読むつもりで久しぶりにPC版をダウンロード。たしかに腰は据えられたが、じっくりどころか一気読み。あと1冊がやめられず、結局大人買いになってしまった。電子書籍の場合はそれができてしまうのだ。

 ダウンロードしたファイル数では電子コミックは相当読んだ/買ったことになるが、作品数ベースでいうなら、私の場合、圧倒的に小説が多い。その話は次回(9月16日更新分)であらためて。

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電子書籍とは

ウェブ上で流通し、PCや携帯電話などのデジタル機器で読める書籍のこと。文芸などの文字もの・コミック・写真集とジャンルは多岐に渡る。ウェブサイトからダウンロードして読むタイプのものと、オンラインで閲覧するストリーミングタイプのものがある。 

プロフィール

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落合 早苗(おちあい・さなえ)

株式会社hon.jp代表取締役社長

学習院大学文学部卒。出版社・IT関連サービス会社等を経て2004年3月インプレス(現・インプレスホールディングス)入社。同月設立の100%子会社リーディングスタイル(現・hon.jp)に出向。丸善丸の内本店の電子書籍体験コーナーの運営や表参道のカフェを使ったケータイ読書プロモーションを企画実施。2006年10月より現職。日本ペンクラブ会員。日本出版学会会員。

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