ディープインパクト。馬名どおりの、衝撃的な走りをみせるスター・ホースが久びさに現れたことで、今年の競馬界はわいた。
来週は一年を締めくくる、グランプリ有馬記念だ。無敗のディープが歴戦の古馬を相手にどう闘うか。そんなお祭りムードの渦中だからこそ、「おとなの馬券学」(ミデアム出版社)で、じっくり馬券的中のフォームを作りたい。
数ある競馬誌の中でも、表紙、本文も含め、ここまで地味な作りは異彩を放つ。写真はほとんどなし。騎手のコメントもない。雑誌名に強烈な個性が集約されている。「競馬」の文字がないのだ。あくまでも〈馬券検討参考マガジン〉という姿勢がいさぎよい。
昨秋創刊。通巻13号となる誌面には、馬券オヤジの面白くもない能書きが並んでいるかと思うと、大違い。馬券に取りつかれた人びとの自慢やボヤキは、非日常的な笑いにみちている。
関西在住の放送作家、北野義則の今回のテーマは〈マイホーム作戦〉。荒れそうなレースを選び馬券を的中させて「家を建てるほどの大金を持ち帰る」。最近は1、2、3着を着順どおり当てる3連単馬券の導入で、たった100円の馬券が何百万円の配当になったりする。北野も3連単を当て、約64万円の払い戻しを受ける。「もういきなり爆発」「家を建てる態勢、完全に整う。もう大工さんを手配したっていいのだ」。これを軍資金に100万馬券を当てれば、夢のマイホームだ。
馬が可愛いとか、レースを推理する楽しみは、まったく関係なし。一見ギャンブル依存症にしか見えないが、馬券に寄せる祈りにも似た思いは、ときに禁欲的な修行僧にも映る。私のようなハンパな競馬ファンの理解を超えた、その情熱はなんだか気になる。