2006年01月26日14時28分のアサヒ・コム
		アサヒ・コムBOOKこのサイトの使い方へ検索へジャンプメインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

 » asahi.comツールバー: 検索機能がアップ

  

 » プーシキン美術館展: モネ、ルノワール、マティス、ピカソ…

メインメニューをとばして、本文エリアへ朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbe

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  BOOK > マガジンウオッチ記事

マガジンウオッチ

うらなり君と『坊っちゃん』 文學界

[掲載]2006年01月22日
[評者]亀和田武

 今年で『坊っちゃん』が書かれて百年になるという。〈東京っ子、夏目漱石〉を特集した「東京人」2月号の出久根達郎と半藤一利の対談でそれを知った。

 漱石など柄じゃないおれだが、『坊っちゃん』は好きだ。といっても最初に読んだのが40歳をすぎてだから、自慢にもなりゃしないが。一読、なんて寂しい話だろうと思った。親兄弟にも愛されなかった坊っちゃんが心を許すのは、彼を溺愛(でき・あい)する下女の清だけだ。

 世間に流布された熱血青春小説的なイメージとの落差に戸惑ったものだ。テンポの良さにまどわされて、スイスイ読んでしまうけど、意外と『坊っちゃん』は難物だぜ。そんなことを考えていたとき「文学界」2月号に小林信彦「うらなり」がのったので、絶妙なタイミングにおどろいた。

 婚約者のマドンナを赤シャツに奪われた〈気の毒なうらなり君〉の側から『坊っちゃん』を読んだら、どうなるか。

 坊っちゃんと山嵐が赤シャツをとっちめて松山を去った30年後、銀座4丁目の三越前で作中の語り手であるうらなりと山嵐が再会する。あいかわらず堀田(山嵐)は元気だ。懐かしいが、どこかぎくしゃくした会話の途中で、うらなり君は思う。「数学担当の若き日の堀田といっしょにいた、同じ数学教師の名を私は想い出そうとしていた」。しかし「名前がどうしても想い出せない」。

 低い声で淡々と語られる、うらなりの半生も興味ぶかいが、小説の後半で山嵐が提示した『坊っちゃん』のもうひとつの読みが鮮やかな批評になっている。明治、大正、昭和の三代を生きた、気が弱そうにみえて意外とタフな英語教師の述懐からは、平成の世を生きる日本人が共有する、漱石とは異なる別種の寂しさがただよう。



関連情報

    ここから広告です 広告終わり
      ここから検索メニュー

    検索 使い方

    検索メニュー終わり

    朝日新聞サービス

    ここから広告です
    広告終わり

    BOOK おすすめレビュー

    売れ筋ランキング 一覧

    涼宮ハルヒの分裂

    BOOK サイトマップ



    powered by amazon.co.jp
    ▲このページのトップに戻る

    asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

    ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
    asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
    | 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
    Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.