家では、どんな音楽を聴きますか。そう尋ねられて「レゲエ」と答えると、相手は一瞬、黙る。しかしすぐ「ああ、ボブ・マーリーとか」と聞き直してくる。「いや、ダンスホール系のレゲエ」。DJが叫び、ダンサーが激しく腰を振る、ちょっとヤバイ曲、あれが私の仕事部屋のBGMだ。
だから「ルイール」(リットーミュージック)はよく手にとる。気になる特集は、買うこともある。「ルイール」はヒップホップやレゲエ音楽が好きで、黒い肌にあこがれる女子のファッション誌だ。
他の女性誌との違いは、モデルの肌の色だけではない。たとえば3月号の表紙には〈「マニッシュ」な女がだれよりもかっこいい!〉の文字が大きく踊る。表紙を隅から隅まで探しても、あの安直きわまりない「モテ」の字はどこにもない。偉いッ。我が道を行く姿勢が好ましい。
世界の4大都市のニュースをのせた、内容的にはどうってことないページがあって、この4大都市が、いかにもこの雑誌らしい。ニューヨーク、東京、ロンドンときて、もうひとつがキングストンなのだ。パリやミラノはお呼びじゃない。レゲエの島、ジャマイカの町を、世界の4大都市に入れる姿勢がいさぎよい。
お金をかけずに目立ちたい。そんなブラックビューティー好きの読者にあわせた、服や小物の値段が他の女性誌とは一ケタ、二ケタ違うところにも好感を抱く。
巻末には、元SPEEDの新垣仁絵あらためHITOEの、自作の絵とエッセーがのっている。今月で連載は40回。力強く、ていねいに描かれた絵がとても印象に残る。ともかく元気、そのうえ大手ブランドやメディアの仕掛ける流行とは無縁な「ルイール」とHITOEを、私は応援したい。