週刊誌が元気だとうれしい。
スクープ記事の見出しが躍る新聞広告や電車の中づりを目にすると、オッ世の中うごいているなあ、という気にさせられる。
高橋呉郎『週刊誌風雲録』(文春新書)は戦後の週刊誌事情を、論ではなく具体的なエピソードでグイグイ読ませていく。とりわけ、その後の週刊誌の取材と記事のスタイルに大きな影響を与えた、草柳大蔵と梶山季之の2人の人物像があざやかで印象に残る。
では現在はどうか。長期低落傾向に悩むといわれる週刊誌だが、ここ何週か各誌とも健闘が目につく。「週刊ポスト」(小学館)3月3日号は、在京テレビ局の大物プロデューサー“巨額不明金”疑惑を大きく報じた。これだ、と思った。せっかくのスクープ記事もテレビ番組にイイトコ取りされ、わざわざ読まなくてもテレビで間に合うヨ、の風潮が生まれた。
だったらテレビがさまざまな制約から決して報道できない記事をのせればいい。「週刊文春」(文芸春秋)3月2日号もがんばっている。この号には、テレビや雑誌でいま絶大な人気を誇る霊能カウンセラーの記事がのっている。テレビの情報系番組には、スポーツ紙や週刊誌のさわりを紹介するコーナーがあるが、どこも「文春」の記事には触れないだろう。見出しすら映さない可能性もある。
週刊誌は名誉棄損訴訟の賠償金が高額化し、苦境に立たされている。ふつうは腰が引けるところだ。女性誌も発行する出版社としては人気の霊能師との関係が悪くなるのはまずい。それでもあえて、いま読者が一番知りたい人物の私生活を伝える。週刊誌の原点を改めて確認させた記事に拍手だ。テレビと新聞が報じない記事を真っ先に提供する。週刊誌の生き残る道はこれしかない。