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新書ピックアップ(朝日新聞18年4月21日掲載)

伊藤裕著『幸福寿命』 

著者は、内分泌学や抗加齢医学を専門とする慶応大教授。長寿が必ずしも幸福といえない時代に、幸せを感じられる期間を延ばすことを説く。カギを握るのは、臓器と臓器のあいだで情報を伝達する各種ホルモンや、心身の働きに関与するとして注目される腸内細菌。幸福とは何かを問いつつ、愛情と深く関わるホルモンがあるなど最新の研究からワクワク感や信頼関係などが心の問題だけでなく臓器の働きとの関わりをあかす。(朝日新書・821円)

猪浦道夫著『TOEIC亡国論』 

企業や学校などでおなじみの英語能力試験TOEICだが、何をもって英語力を測るのか。その成り立ちや試験内容の分析、受験者の評価などから検証。TOEICでは測れない能力を指摘し、国際社会で通用する英語力の基礎はむしろ国語であることなど、厳しい批判も。語学は早く始めた方がいいという考えにも反論し、具体的な学習法も紹介。(集英社新書・799円)

青木美希著『地図から消される街』 

福島第一原発事故から7年。住宅支援を打ち切られた約3万人は避難者として数えられなくなり全国をさまよう。だが、人々の関心は薄く、人の住まなくなった地名は忘れ去られていく。避難家族や現地採用の東電社員、さらには「原子力村」の重鎮への取材を通じ、原発事故をめぐる「不都合な事実」を追い続ける朝日新聞記者が自戒を込めて記したルポ。(講談社現代新書・994円)

臼杵新著『イヌの老いじたく』 

犬も人間も高齢化が進み、その関係性も変化している。獣医師の著者に寄せられる相談も中高年ならではの内容に集中しているという。犬の老いに関する基本的な知識をはじめ、老犬がかかりやすい病気やその治療法、食餌(しょくじ)や散歩の工夫などを解説。実用に即しつつも、治療の選択と責任についての覚悟など、ペットをみとるために必要な心構えも説く。(サイエンス・アイ新書・1080円)