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リアルな友情、「ともだちや」20周年

 1時間100円で友達に――。さみしがりで不器用なキツネは、友達をつくる苦肉の策として、「ともだちや」を始める。そうして出会ったオオカミとの交流を描くシリーズ「おれたち、ともだち!」。20周年を迎えた今春、13作目の「さよなら ともだち」(偕成社、税抜き千円)が出版された。
 新作では、キツネが「ともだちや」を始めたきっかけが明かされる。「別れは出会いの始まり」というメッセージも。

内田麟太郎さん、13作目出版

 作者の内田麟太郎さん(76)は元看板職人。「ナンセンス」を大切にして、物語を紡いできた。
 50代のある日、大人が眉をひそめそうなアイデアを思いついた。すれ違いや嫉妬も含め、リアルな友情を描いてきた。
 初版から予想外に売れた。「僕はへんてこさを書きたかったのだけど、胸キュン作品として読まれて恥ずかしかった」
 だが、幼い子や若者から毎日のように手紙が届いた。「友達ができなくて悩んでいたけど励まされた」「ケンカの後の仲直りのヒントをもらいました」……。「こんなにも友達で悩むことに驚き、役立てたとうれしかった。このシリーズを書き続けて考え方が柔軟になりました」と話す。5月10日から、東京都千代田区のブックハウスカフェで20周年記念の原画展もある。20日まで。(山内深紗子)=朝日新聞2018年4月28日