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ハリケーン、どう生き延びた

「ボトルクリーク絶体絶命」

 ハリケーンを体験したことがある作者でなければ書けないような臨場感あふれる迫力満点のサバイバル小説。災害に見舞われた時、どんな行動をとればいいのかを考えさせてくれる。13歳の少年・コートはリバーガイドをしている父親の仕事を手伝ううちに、危険から身を守る方法を学んでいた。ハリケーンがアラバマ州一帯を襲った9月のある日、近くに住む幼なじみのライザの妹・フランシーが犬と一緒に家からいなくなっていた。荒れ狂う嵐の中をコートはライザと共に探しまわるが、次から次と予測できないことが起こり、ピンチに陥ることに。気になる「ボトルクリーク」とは、ネイティブ・アメリカンの古代遺跡がある土塁のことをいう。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫)
 ★W・キー著、橋本恵訳、あすなろ書房、税抜き1500円、中学生から

「エンリケタ、えほんをつくる」

 ママにもらったいろえんぴつで、エンリケタは絵本を描きはじめます。タイトルは「3つのあたまと2つのぼうしのモンスター」。自分で描いている物語に笑ったりおびえたり、解説や突っ込みなどもはさみつつ、頭の中のものがぐいぐい形になっていくのが本当に楽しい! 子どもの想像力の豊かさと奇抜さに脱帽です。(丸善丸の内本店・児童書担当 兼森理恵)
 ★リニエルス作、宇野和美訳、ほるぷ出版、税抜き1500円、小学校低学年から

「森のおくから むかし、カナダであったほんとうのはなし」

 先月他界した作者が残してくれた絵本。ホテルを経営する母や周りの大人を見ながら育つアントニオは、山火事で湖の中に避難したときに不思議な光景を目にする。祖父の実体験に基づき、様々な人間と様々な動物が共有した特別なひとときを描いている。(翻訳家 さくまゆみこ)
 ★R・ボンド作、もりうちすみこ訳、ゴブリン書房、税抜き1400円、5歳から=朝日新聞2017年9月30日掲載