1. HOME
  2. インタビュー
  3. テーブルトーク
  4. 世界に開かれた紀伊半島を紹介

世界に開かれた紀伊半島を紹介

檜垣立哉さん 53歳 大阪大大学院教授

 「戦国時代の紀伊半島は根来(ねごろ)、雑賀(さいか)などの宗教勢力が支配し、『倭寇(わこう)』と通じて海外と貿易をしていた」「1960年代まで和歌山県はケシの一大産地で、戦時中はそれを原料にしたアヘンやヘロインが中国で密売されていた」……。  日本の一地方である紀伊半島が、海を介して直接世界とつながっていたことを示す歴史のエピソードを集めた本「世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座」(ミネルヴァ書房)をまとめた。  「昔から反逆者らが最後に逃げ込む『どんづまり』のように見える紀伊半島が、実は世界に開かれた場所だったことを、多くの人に知ってもらえれば」  高校では2022年度から、日本史と世界史を統合した「歴史総合」が必修化する。和歌山県では16年、高校や大学の教員が、地域史と世界史が直結した事例を研究する「紀伊半島世界史研究会」を立ち上げた。今回の本はその成果だ。  執筆者には現役の高校教師も。「教師が地域研究に取り組むことは難しくなっているが、『歴史総合』の授業では教師の発想が非常に重要。研究を続けてほしい」  (編集委員・今井邦彦)