「キングダム」「封神演義(ほうしんえんぎ)」など古代中国を舞台にした漫画がヒットし、中国古代史に興味を持つ若い人も増えてきた。だが、中国で新しい出土文献が次々と見つかり、研究も進んでいるのに、日本ではあまり紹介されず、教科書の記述も古いままのことも少なくない。「最新の研究状況を知って古代史を楽しんで欲しい」と、3月に「中国古代史研究の最前線」(星海社)を出版した。
関西学院大学で「史記(しき)」「春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)」などの文献を下敷きに歴史を読み解く魅力にはまった。2008年に中国東北部の吉林大学の古籍研究所に留学し、殷周(いんしゅう)時代の古文字を研究。現在は立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所の客員研究員と同大学講師を務める。
出版した本では近年見つかった金文や竹簡(ちくかん)などの出土文献を紹介し、古代史研究がどう変化してきたかを時代ごとに解説。「最前線と書いたが、新しいものはどんどん出てくる。研究に興味をもってくれるきっかけにもなればうれしい」。古代の戦争やその思想にも興味があるそうで、研究に対する情熱は深まる一方だという。(渡義人)
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