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「現代フランスを生きるジプシー」 移動民の暮らし考察「学ぶこと多い」

左地亮子さん 38歳 東洋大社会学部准教授

 フランス南西部の移動民「マヌーシュ」の日々の暮らしを描いた「現代フランスを生きるジプシー」(世界思想社)で、2017年度のサントリー学芸賞を受賞した。都市周辺の空き地や宿営地に「キャラバン」と呼ばれるキャンピング・トレーラーを止め、定住化を進めながらも移動生活を続けるマヌーシュが、自らの居場所や他者とのつながりをどう作り上げているのかを考察した。
 高校生のとき、ナチスのユダヤ人迫害について学ぶ授業で、「ジプシー」と総称される移動民も同じように迫害を受けたと聞き、関心を抱いた。10年ほど前からフランスで調査を続けている。
 「マヌーシュの生活に入ってみると、『旅の中に住まう』という生き方に誇りを持っていると感じた。臨機応変につながったり離れたり。マジョリティーの中で生き抜く姿は、創造的でしなやか」
 移民、難民、避難者。社会や自然の変化による移動や移住の問題は世界各地で顕在化し、マヌーシュの生活に学ぶことは多いと指摘する。「現代の新しい生き方につながるヒントが得られるのではないか」(深松真司)