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「あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る」書評 わかりにくさがゆえの魅力

評者: / 朝⽇新聞掲載:2015年05月17日
あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る 著者:三田 完 出版社:文藝春秋 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784163902227
発売⽇: 2015/03/09
サイズ: 19cm/236p

あしたのこころだ 小沢昭一的風景を巡る [著] 三田完

俳優、放浪芸の研究者、俳人など、いくつもの顔を持っていた小沢昭一さん(1929〜2012)。ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」の台本作者だった著者が、その人物像や芸の秘密を探った。NHKに勤めていた1982年、「憧れのひと」小沢さんに会い、「怖い方だ」と感じる。仕事を重ねるうちに「一捻(ひとひね)りしたオトナのやり口。意図しなかったように見えて、じつは入念にはかった筋書」が「小沢好み」だと気づく。そして「素顔を匿(かく)すことに尋常ならざる努力を傾けておられたように思う」という。少年時代を過ごした蒲田、新劇に進むきっかけがあった亀戸、菩提(ぼだい)寺のある向島などを訪ね、小沢さんの、わかりにくさがゆえの魅力に迫る。
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文芸春秋・1728円