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「地球科学の開拓者たち」書評 自然軽視の愚かさを伝える

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年02月08日
地球科学の開拓者たち 幕末から東日本大震災まで (岩波現代全書) 著者:諏訪 兼位 出版社:岩波書店 ジャンル:自然科学・環境

ISBN: 9784000291538
発売⽇:
サイズ: 19cm/264,12p

地球科学の開拓者たち 幕末から東日本大震災まで [著]諏訪兼位

 幕末から現代までの地球科学の開拓者24人(外国人4人を含む)の足跡をたどる。幕末を生き延びた榎本武揚は、駐露特命全権公使を終えての帰途、シベリアを横断しながら砂金場やバイカル湖の地質を調べ、のちに、東京地学協会や気象学会の会長も務めた。地球科学の揺籃期(ようらんき)を牽引(けんいん)した自然科学者でもあったことがわかる。
 また、福島第一原発が建設される地方の地質調査をした関陽太郎は着工前に東京電力に警告していた。自然を軽視することの愚かさを伝えるとともに、過去の大地震をこえて発展してきた地球科学は、東日本大震災についても必ずや乗りこえて「一層発展するであろう」と書き、地球科学者の思いをこめている。
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岩波書店・2484円