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竹宮惠子「少年の名はジルベール」書評 盟友・萩尾望都への憧れと嫉妬

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2016年02月28日
少年の名はジルベール 著者:竹宮 惠子 出版社:小学館 ジャンル:マンガ評論・読み物

ISBN: 9784093884358
発売⽇: 2016/01/27
サイズ: 20cm/237p

少年の名はジルベール [著]竹宮惠子

 ジルベールとは、マンガ家である著者の代表作『風と木の詩(うた)』に出てくる美少年。少年同士の性愛を描くタブーに挑んだこの作品は、いま「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれるジャンルのルーツだ。本書は少女マンガ黎明期(れいめいき)にデビューした著者が、マンガで「革命を成功させる」と誓って奮闘した若き日をふり返るエッセー。マンガ家が輩出したトキワ荘にならった「大泉サロン」での共同生活や、『風と木の詩』を世に出すため『ファラオの墓』をヒットさせるなどの逸話は、彼女の戦略性の高さを感じさせる。とりわけ、盟友・萩尾望都に抱いていた憧れと嫉妬がない交ぜになった複雑な感情は、一人称語りの赤裸々な文章も手伝って胸に迫る。
    ◇
 小学館・1512円