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「宇宙エレベーターの本」書評 建設費10兆円、材料はまだない

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年09月07日
宇宙エレベーターの本 実現したら未来はこうなる 著者:宇宙エレベーター協会 出版社:アスペクト ジャンル:自然科学・環境

ISBN: 9784757223202
発売⽇: 2014/06/26
サイズ: 21cm/223p

宇宙エレベーターの本 [編]宇宙エレベーター協会

 バベルの塔や世界樹の伝説に見るように人間にはまっすぐ天をめざしたいという願望がある。現代ならば宇宙エレベーターだろう。2008年には宇宙エレベーター協会もできた。その計画の全容をまとめた1冊。
 大林組の構想によると、赤道上の発着駅から、太陽光発電で動く車両が長さ10万キロのケーブルに沿って上昇し、3週間かけて先端までたどりつく。鉄道がまっすぐ上に延びている、と思えばよい。建設費は10兆円。残念ながら、潮汐(ちょうせき)力に耐えられる強さと軽さを兼ね備えたケーブルの材料がまだ存在しない。「テロリストがケーブルをハサミで切ってしまうことは絶対に防がなければならない」という指摘の方が、妙に現実感がある。
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 アスペクト・1728円