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To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第3回 関内(横浜)

文・イラスト:藤原ヒロユキ
文・イラスト:藤原ヒロユキ

 「アンテナ・アメリカ」は、アメリカン・クラフトビールのインポーター「ナガノトレーディング」のアンテナショップである。
 この店には、ナガノトレーディングが厳選したアメリカン・クラフトビールが、ベストコンディションで並んでいる。
 この「厳選」と「ベストコンディション」の2点が厳守されてこそ、アメリカン・クラフトビールの素晴らしさが日本に伝わるのだ。

 私は、この二十数年間、日本とアメリカのクラフトビール・シーンを見てきているが、正直言って、すべてのアメリカン・クラフトビールが素晴らしいというわけではない。クラフトビールの先進国であり、全体的に高い水準であることは確かだが、全米に5000社以上のクラフトビール・メーカーがあるわけなので、なかには「うーん……」というビールも存在する。
「これなら、日本のクラフトビールで充分、もしくは日本のクラフトビールのほうがいいんじゃない?」といったビールもある。やみくもに、輸入すれば良いというものではない。「厳選」は重要なのである。

 また、どんなに良いビールであっても、海外から輸入する間に品質が落ちてしまっては、本当の美味しさは伝わらない。ビールは温度が20~25℃を超えるあたりから著しく劣化する。アメリカから船で運び、通関待ちも含めると相当の日数がかかるので、温度管理のなされていないドライコンテナでは、ビールが傷んでしまうケースが多い。
 ところが、この件に関して、無神経な輸入業社は少なくない。日本国内の流通業社、飲食店や酒販店も、ビールの温度変化による劣化に無頓着なことが多い。

 ナガノトレーディングは、アメリカ国内の輸送もすべて冷蔵便を使い、船便はもちろん低温のリーファーコンテナ(ドライコンテナよりも高額なのは言うまでもない)で、さらに、日本国内の流通も低温便を選び、飲食店や酒販店にも低温保管が重要なことをレクチャーし、理解してくれない場合は販売しないというポリシーを持っている。だから、常に「ベストコンディション」なのである。

 「アンテナ・アメリカ」は、〝飲食店があるとは思えないビル″の5階にある。初めての方は若干戸惑うことだろう。
 しかし、勇気をもってエレベーターに乗り、扉が開けば、そこはアメリカの空気が漂う空間が広がっている。

 「アンテナ・アメリカ」では、美味しいアメリカン・クラフトビールをその場で飲むことも出来るし、買って帰ることも出来る。フードメニューには、〝まさにアメリカ!″といった、ハンバーガーやホットドッグやチキンウイングといった料理が並んでいるのもうれしい限りだ。
 アメリカの料理を「美味しくない」という人がいるが、それは“ちゃんとしたアメリカ料理”を知らないからだと思う。ファーストフードのハンバーガー=アメリカ料理ではない。

 カントリー・ミュージックデュオ「ブルックス&ダン」の一員で、カントリー・ミュージックのシンガーソングライターとして有名なキックス・ブルックスの料理本『Cookin' It with Kix: The Art of Celebrating and the Fun of Outdoor Cooking』を開けば、“ちゃんとしたアメリカ料理”を知ることが出来る。分厚い鉄製のスキレットで焼いたステーキやスパイシーなガンボ、甘さいっぱいのピーカンパイといった、見ているだけでよだれが垂れそうな料理が並んでいるのだ。私はアメリカ飯が大好きで、自分でも作るので、「アンテナ・アメリカ」で売られている「アメリカのブルワリー直営レストラン特製のソース」を買って帰ることもある。

 他にも、アメリカのクラフトビールのTシャツやパイントグラスといったキャラクターグッズが販売されているので、お土産として買って帰るのもいいだろう。テラス席もあるので、天気の良い日は外で飲むのも気分がいい。夕暮れ時はなおさらである。

 横浜・吉田町の「アンテナ・アメリカ」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。