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『「なんで英語やるの?」の戦後史』書評 「必修でない日本」あり得たか

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2014年03月23日
「なんで英語やるの?」の戦後史 《国民教育》としての英語、その伝統の成立過程 著者:寺沢 拓敬 出版社:研究社 ジャンル:教育・学習参考書

ISBN: 9784327410889
発売⽇: 2014/02/24
サイズ: 21cm/285p

「なんで英語やるの?」の戦後史 [著]寺沢拓敬

 中学校の学習指導要領で外国語が必修になるのは2002年のこと。ついこの前までは制度上は選択科目に過ぎなかった。戦後初期は名実ともに選択科目だった英語が「事実上の必修」となったのは1950年代から60年代にかけて。「3年間のうち一度は学ぶ」から「すべての生徒が3年間学ぶ」ようになった。背景には英語教師の運動による、高校入試への英語導入や、ベビーブームの影響(生徒増で増えた英語教師に、生徒数が落ち着いた後に余裕ができた)があるとみる。農村部にも目配りしつつデータを渉猟するとともに、50年代の加藤周一の必修反対論など英語教育をめぐる議論も追う。「英語が必修でない日本」もあり得たのか、と想像させる。
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 研究社・2940円