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「パンダが来た道」書評 稀少動物と人間の関係を面白く

評者: 出久根達郎 / 朝⽇新聞掲載:2014年03月16日
パンダが来た道 人と歩んだ150年 著者:ヘンリー・ニコルズ 出版社:白水社 ジャンル:自然科学・環境

ISBN: 9784560083437
発売⽇: 2014/01/27
サイズ: 20cm/304,22p

パンダが来た道—人と歩んだ150年 [著]ヘンリー・ニコルズ

 上野動物園のパンダが発情したらしい。果たして交配がうまくいくかどうか。ファンはかたずを呑(の)んで朗報を待っている。こんなことも、いまだ研究途上なのである。ようやく、幼い時の母との関わりの多少が、何かと影響することがわかってきた。オスの繁殖行動は、母親と一緒に生活した期間が長いほど活発と推測されている。
 パンダたちは声によって、互いの性や年齢や体格などを識別しているらしい事実もわかってきた。また、一部の色を視認することや、顔の模様を覚えているらしいことも判明してきた。
 パンダの生態の謎が解明されると、パンダはしあわせになれるのだろうか? 本書はパンダが発見されてから、人々がこの稀少(きしょう)動物をどのように扱ってきたか、を要領よく面白くまとめている。「政治的動物」という言葉が重い。
 題字といい造本といい、花ぎれ、ページに至るまでパンダ模様(白黒)、パンダファンは随喜だろう。
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 池村千秋訳、白水社・2520円